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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
高エネルギー密度リチウム二次電池の正極活物質としては,遷移金属の酸化物従来主に検討されてきたが,必ずしも合成が容易ではなく,放電に伴うリチウム挿入で不可逆的な構造変化を起こす場合も多い.われわれは,ゾル-ゲルプロセスで水溶液から容易に合成可能で広い層間距離(約1nm)をもつ特異的な含水遷移金属酸化物,五酸化バナジウムキセロゲル(V_2O_5・nH_2O)に着目して,そのリチウム挿入・脱離挙動に関する多くの基礎的知見をこれまでに明らかにしてきた.本研究では,層間への有機分子導入による正極特性の向上の指針を探ろうとした. このため,層間水の一部または大部分を極性有機分子であるアニリンやピリジンで置換すると可逆的放充電容量が増大することを確認し,層間へ導入されたこれら有機分子の機能を調べた. 具体的にはまず,ディップコート法でニッケル基体上に薄膜化した種々の含水率nをもつキセロゲル試料極を準備して,炭酸プロピレンを溶媒とする非水電解液中で放電・充電サイクルさせたときの電位の変化過程を追跡し,これと同時に結晶構造上の変化も調べた.この結果,含水率nが低いほど高い可逆性を示すことが分かり,挿入されたリチウムイオンに対する層間水分子の配位状態がきわめて強いことに起因すると考えられた. さらに,キセロゲル層間にあらかじめアニリンを導入して層間水と置換すると,可逆性は同様に向上することが認められ,挿入されたリチウムイオンの配位状態の変化が正極特性の向上につながったものと考えられた.以上の結果,新しい実用正極材料としての可能性を実証できた.
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