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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
液晶は結晶同様光学的異方性をもち,かつ液体のように流動性をもつためディスプレイ材料として広く使われている。現在の主流はネマチック液晶の電界駆動であるが,数ミリ秒の応答が限界であるため記録・スイッチング・演算など多方面への応用が制限されている。本研究ではフォトクロミック化合物の光化学反応がピコ秒〜ナノ秒という高速で起こることに着目し,フォトクロミック部位を組み込んだネマチック液晶を合成して,新しい原理に基づく光記録について検討した。アゾベンゼン誘導体のなかにはネマチック液晶相を発現するものがあることを見出した。これらアゾベンゼン液晶では,アゾベンゼン部位は液晶形成団(メソゲン)としての役割と,光応答部位としての役割の二つを担っている。アゾベンゼンには二つの異方体があり,棒状のトランス体ではある温度範囲でネマチック液晶相を発現するが,光照射後に生成する屈曲形のシス体ではどんな温度においても液晶相は発現しないことが明らかになった。すなわち,アゾベンゼン液晶に光を照射してトランス-シス光異性化を起こすと,シス体が生成すると同時にネマチック液晶は消滅することがわかった。水銀灯の366nmの輝線をアゾベンゼン液晶薄膜(厚さ100nm)に照射すると,トランス-シス光異性体に伴ないネマチック相一等方相の相転移が誘起され,光照射を止めると,熱的にシス-トランス逆異性化が起こりネマチック相が復活することを見出した。このネマチック相一等方相光相転移は1000回も繰り返し起こすことができた。光応答性をレーザーパルス(355nm,10ナノ秒半値幅)を照射して検討した結果,低分子アゾベンゼン液晶・高分子アゾベンゼン液晶いずれの試料においても,200マイクロ秒という従来のネマチック液晶応答と比較して10倍以上高速応答することを見出した。光記録について検討した結果,高分子アゾベンゼン液晶のガラス転移温度以上で画像を定着すると半年以上全く変わらずに定着画像が保存でき,ガラス転移温度以上に昇温すると画像が消去できることがわかった。
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