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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
早期の肝細胞癌が線維性隔壁・被膜に浸潤する像(間質浸潤)が,肝細胞癌の病理診断や,癌の進展過程解明に有用であると明らかになった。今回は,その間質浸潤のメカニズムを細胞外マトリックス分解酵素matrix matalloproteinase(MMP)の発現の面から,明らかにした. まず,肝細胞癌の間質浸潤の形態的評価の確実な切除例と培検例を用いた。この凍結標本を-30℃(クリオスタット内)で細切,CO_2incubatorで3時間モネンシン処理。その後,peridate-lysine-parapholmaldehyde(PLP)固定液で4℃で一晩固定。通常の方法でパラフィン包埋。そして,MMPのモノクローナル抗体各種を用いて免疫染色を行った。 また,各種コラーゲンも染色した。 その結果:MMPは一部の腫瘍細胞内に陽性に染色された。MMP陽性細胞は,癌胞巣内部よりも,線維組織内,線維と癌組織との境界部により高頻度にみられた。これは癌浸潤の合目的的結果と考えられた。現在,染色性の感度・特異性向上のためさらに条件設定を工夫している。 以上の結果は,これまで不明であった間質浸潤のメカニズム解明の第一歩となりうるものであり,また従来から鑑別の難しかった"肝細胞癌の間質浸潤"と"間質内の残存良性肝組織"とを鑑別する一助となる可能性を示唆した。 今後生検例にも応用し,良・悪性の判定の困難な症例の確定診断という実用的目的にも役立てたい。
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