レトロウィルス抗原提示機構の解析(マウスエイズウィルスを用いて)
Project/Area Number |
07670389
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Immunology
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
水落 利明 国立予防衛生研究所, 細菌・血液製剤部, 室長 (30135701)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | マウスエイズウィルス / レトロウィルス抗原 / 抗原提示経路 / ペプチドワクチン |
Research Abstract |
レトロウイルス抗原がどのようにしてT細胞へ提示されるかについて、マウスエイズウイルス(LP-BM5 MuLV)を用いて研究した。マウスエイズの病原ウイルスである欠損ウイルス遺伝子のなかでも他のマウスレトロウイルスとの相同性が著しく低いp12領域に注目し、それによりコードされる蛋白中で、そのアミノ酸配列より強い抗原性を有すると予想された部分ペプチドであるP12-25(25-mer)を合成した。このペプチド抗原と抗原提示細胞により、マウス(C57BL/6)のCD8陽性T細胞が選択的に活性化されることを見いだした。この系を指標にして、各種の阻害剤の影響を検討することにより、この外来性ウイルス由来抗原のT細胞への提示経路を解析した。その結果、(1)gag p12蛋白の部分ペプチドであるP12-25に対して反応するT細胞はすべてclass I MHCに拘束性を持つnaiveなCD8陽性T細胞であることがわかった。(2)P12-25のアミノ酸配列中にはclass I(D^b) binding motifを持つ9-merのペプチドが2種類存在し、RMA-S細胞を用いたbinding assayにより、これらのペプチドがH-2D^b分子に結合することを確認した。つまりP12-25が抗原提示細胞(APC)により処理されたものがclass I分子に結合してCD8陽性T細胞に提示されることが示唆された。そして各種の阻害剤を用いた実験結果から(3)P12-25はphagocytosis/macropinocytosisによりAPCに取り込まれ、プロテアゾームによる処理ではなく、少なくともcathepsin Bによる切断を受けて9-merから11-merの大きさのペプチドとなり、TAPによってERに取り込まれ、そこで新たにassemblyしたclass I分子(D^b)と会合し、Golgi体を経由して細胞表面へと輸送され、CD8陽性T細胞による認識の対象となることが示された。以上の結果はペプチドの免疫によりマウスエイズの発症を抑制するようなCD8陽性エフェクター細胞を誘導することができる可能性を示している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)