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¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
Jak3はJakチロシンキナーゼのメンバーでサイトカインのシグナル伝達で重要な役割を果たしている。Jak3はIL-2受容体γ鎖(共通γ鎖)と会合し、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9およびIL-15のシグナル伝達に必須のチロシンキナーゼ分子である。我々は、これまでに、Jak3キナーゼを腎メサンギウムより単離し(FEBS Lett.,342(2),124-128,1994)、Jak3が糸球体で構成的に発現していることを明らかとしてきた(Biochem.Biophys.Res.Commun.,209,218-226,1995)。本研究課題では、糸球体におけるJak3の生理学的、病理学的役割を明らかにする目的で、Jak3抗体を作製し、腎癌健常部および糸球体腎炎患者の生検試料中の糸球体におけるJak3の局在に関して免疫組織学的な検討を加えた。糸球体腎炎61症例および健常腎4例におけるJak3の局在を検討した結果、Jak3はIgA腎症(34例中14症例)および層状糸球体硬化症(5例中1症例)の糸球体上皮に選択的な局在を認めたが、微少変化群(6症例)、膜性腎症(7症例)、半月体形成性腎炎(4症例)、ループス腎炎(5症例)および腎健常部糸球体(4症例)では局在を認めなかった。Jak3陽性IgA腎症群はJak3陰性IgA腎症群に比べ、有意にクレアチニン・クリアランスが減少し(Jak3陽性群:81.5±10.4ml/min、Jak3陰性群:104.3±29.6ml/min,P<0.05,Student's t-test)、血清クレアチニンが上昇していた(Jak3陽性群:1.13±0.33mg/dl、Jak3陰性群:0.75±0.23mg/dl,P<0.01,Student's t-test)。さらに腎糸球体上皮におけるJak3および共通γ鎖の発現をin vitroおよびin vivoで確認した。以上の結果より、共通γ鎖の発現をin vitroおよびin vivoで確認した。以上の結果より、共通γ鎖-Jak3を介したシグナル伝達系がIgA腎症の糸球体上皮障害に関与することを示唆した。また、IgA腎症でIL-4分泌T細胞が糸球体に浸潤していることから、糸球体上皮におけるIL-4に対するシグナル応答が増強IgA腎症の進行に関与する可能性につき考察した。
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