Project/Area Number |
07670400
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hygiene
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井口 弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (90025643)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 一酸化窒素 / 肺胞マクロファージ / アスベスト / 一酸化窒素合成酵素 / ONOO^- |
Research Abstract |
アスベストが呼吸器に吸入されると肺癌、肺線維症および悪性中皮腫を起こす有害物質として広く知られている。しかし、その有害作用の発現機序は殆ど未解明で、多くの研究と議論がある。肺胞は外界に直接晒されるため、防御細胞としての肺胞マクロファージ(AM)を豊富にもつ。このAMは吸入されたアスベスト等の異物に対して第一防御線として働く。すなわち吸入異物を貪食したり、異物により活性化されて種々のサイトカインやメディエイタ-を産生し放出する。これらの一つはO_2^-としてよく知られている。この他に遊離基である一酸化窒素(NO)合成酵素(NOS)の誘導とNO産生放出が起こることを私は最近明らかにした。O_2^-とNOが同時に産生されるとONOO^-が形成され、分解して極めて反応性に富む遊離基、^-OHを生じて細胞組織障害を起こすと考えらえている。O_2^-とNOによるONOO^-形成は拡散律速に近い速度で形成されるため、両者の近接した場での同時発生は不可避的にONOO^-形成と^-OH発生を伴い、それによって細胞組織を障害する。そこでラットよりAMを気管支肺胞洗浄法で集め、今日なお大量に使われているクリソタイルアスベスト(CH)と培養してO_2^-とNOそれぞれの産生を培養時間とCH量との関係でしらべた。O_2^-産生増加は1時間以内に起こり、1.5時間で最高に達するが、少なくとも9時間以降もその産生増加を持続した。一方、O_2^-産生が明らかに増加する量のCHでAMを6時間培養してもNO産生は有意に増加しなかった。しかし9時間の培養では有意な増加を示した。以上から、アスベストとAMを9時間以上培養すればO_2^-とNOは同時に産生されると判明した。その結果、ONOO^-の形成と^-OHの発生を導き、それによって細胞組織障の起こる可能性が大きいことを示す実験結果をえた。
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