Research Abstract |
前腫瘍性ならびに前肝癌病変において,in vivoでHGF,TGF-αが病変細胞のDNA合成を促進するかどうか,肝癌病変とも比較し,検討を行った. 前腫瘍性ならびに前肝癌病変と肝癌病変はラットに3′-Me-DABを投与して誘発し,HGFまたはTGF-αの0.5mg/kgBWを2時間間隔で6回に分けて投与し,投与開始より22時間後にBrdUを投与し,4時間後に肝を取り出した.GST-P/BrdUの免疫二重染色標本により,前腫瘍性病変(altered foci)ならびに前肝癌病変(hyperplastic nodules)と肝癌病変におけるBrdU labeling index(LI)を算出した.なお,肝癌病変ではHGF投与のみ行った. LIは,altered fociでは,HGF投与群,TGF-α投与群,非投与群でそれぞれ4.78±1.62%,2.37±1.45%,1.28±1.21%で,HGF投与群は非投与群に比較して有意(p<0.01)な増加を示し,TGF-α投与群でも増加を示したが有意差は認められなかった.また,hyperplastic nodulesでは,HGF投与群,TGF-α投与群,非投与群でそれぞれ4.69±2.03%,3.31±1.81%,1.99±1.59%で,HGF投与群は非投与群に比較して有意(p<0.01)な増加を示し,TGF-α投与群でも増加を示したが有意ではなかった.肝癌では,索状型,腺癌型,未分化型ともLIはHGF非投与群で高値(それぞれ21.6,30.4,32.4%)で,HGFの投与にて有意な増減は認められなかった(それぞれ24.9,31.9,32.7%). 以上の成績より,HGFは,前腫瘍性ならびに前肝癌病変において,病変細胞のDNA合成をin vivoにおいて有意に増加させ,TGF-αも増加させたが有意差を認めなかった.一方,肝癌細胞では,HGFはDNA合成を促進または抑制しなかった.
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