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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
1.コレラトキシンの結合分子の検索 ヒト小腸および大腸粘膜より糖脂質を抽出し薄層クロマトグラフィーを行なった後PVDF膜にアイロンを用いて転写した.この膜上でコレラトキシンを反応させ,化学発光を用いて結合したトキシンを検出すると,従来の薄層クロマトグラフィーで反応を行なう方法に比べて20倍感度が良くなることがわかった.この高感度法を用いても小腸の糖脂質分画ではGM1ガングリオシドのみがコレラトキシンと結合する糖脂質であった.一方,小腸lysateの比較的高分子量のタンパク質にコレラトキシンと結合するものがあることが,Western blottingにより示された.この結合は過ヨウ素酸処理により消失することから,糖鎖を介していると考えられた.さらにbrush border membraneにもコレラトキシン結合蛋白の存在を示唆する結果が得られた.これらの蛋白は均一なものでなく多分子に及ぶと考えられるが,組織当たりのコレラトキシン結合量はGM1の結合量に匹敵するものと推測される.今後これらの蛋白とコレラトキシンとの結合の特異性について検討を重ねる予定である. 2.コレラ菌結合分子の検索 ヒト小腸および大腸粘膜よりムチン型糖蛋白糖鎖をヒドラジン分解によって切りだし,リン脂質に結合させて人工糖脂質を作成した.これを薄層クロマトグラフィーののち上記の方法で膜転写し,コレラ菌の懸濁液と反応させ,抗血清を用いて結合した菌体を検出した.数種類の人工糖脂質に結合がみられたが,抗原量が少なく,以降の解析は行なえなかった.小腸上皮細胞様に分化する細胞株Caco2とコレラ菌との粘着を測定した結果,最近になって流行したO139型の粘着はアジア型より強く単糖により阻害されることが明かとなり,コレラ菌の消化管粘膜への粘着には糖鎖が重要であることが確認されvirulenceとの関連も示唆された.今後この系と上記の固層化糖鎖との結合実験系の双方を組み合わせて最近粘着の機構を解析する.
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