インスリン抵抗性と動脈硬化:動脈壁細胞の糖輸送と増殖に及ぼす低酸素の影響
Project/Area Number |
07670770
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
藤原 隆一 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (70251999)
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Project Period (FY) |
1995 – 1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 動脈硬化 / 動脈壁細胞 / 糖輸送活性 / PI3-キナーゼ / 細胞増殖 |
Research Abstract |
Wistarラット胸部大動脈中膜より培養血管平滑筋細胞を調整し10%胎児牛血清含有DMEM培地で継代培養した。35mmプラスチック培養ディッシュに平滑筋細胞を播種し、10%胎児牛血清含有DMEM培地で炭酸ガス培養器内で培養した。細胞がconfluentに達した時点で種々のグルコース濃度(0〜25mM)の無血清培地に培地交換した。一定時間培養後、種々のグルコース濃度(0〜25mM)および種々のインスリン濃度(10^<-10>〜10^<-6>M)の無血清培地に培地交換後、更に1時間培養を続けた後2-deoxy-D[^3H]glucoseを用いて糖輸送活性を検討した。前処置の培地中のグルコース濃度に関係なくbasalの取込みはアイソトープ添加後15分までは直線性に増加した。前の培地中のグルコース濃度が低値であるほどグルコース取込みは大であった。インスリンは濃度依存性にグルコース取込みを促進し、この効果は培地中のグルコース濃度が低値ほど大であった。一定時間までに培地中のグルコース濃度を培養途中で変えると、グルコース取込みも変化した。インスリンを長時間暴露するとインスリンのグルコース取込み促進作用は失われ、basalの取込み量と同等になった。PI3-キナーゼ阻害薬であるwortmanninはインスリンのグルコース取込み促進作用を完全に抑制し、インスリンの細胞DNA合成亢進作用は不完全に抑制した。この結果より、高グルコース状態は培養血管平滑筋細胞のグルコース取込みを低下させ、インスリン感受性をも低下させることが判明した。また、長時間のインスリン暴露はインスリン自身の感受性を低下させ、グルコース取込み促進作用が失われることが明らかとなった。培養血管平滑筋細胞のグルコース取込み過程における細胞内情報伝達にPI3-キナーゼが関与するものと考えられる。種々のインスリン抵抗性を有する病態では高血糖状態が生じ動脈壁細胞のグルコース取込みを低下させるが、この高血糖がさらに動脈壁のインスリン抵抗性を増強させる可能性が考えられる。長期間の高インスリン血症は動脈壁でのインスリン抵抗性を助長し、インスリンによるグルコース取込み活性は失われるが、他のインスリンの生理活性がそのまま維持されるとすれば、長期間の高インスリン血症は動脈効果惹起性に働くものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)