C端欠失異常T3受容体の示す強力な転写抑制および阻害作用に関する研究
Project/Area Number |
07671122
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
内分泌・代謝学
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 浩淑 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (60164331)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 甲状腺ホルモン不応症 / 異常T3受容体 / 遺伝子転写制御 / レプレッサー作用 / ドミナントネガティブ作用 / 転写抑制作用 / ビタミンD受容体 / レチノイン酸受容体 |
Research Abstract |
甲状腺ホルモン受容体(TR)は遺伝子制御の転写因子であるが、ホルモンがない時は転写レベルを積極的に抑制する特徴を持つ。このレプレッサー作用のメカニズムは殆ど未解決である。本研究では、我々が甲状腺ホルモン不応症(RTH)から同定した非常に強い阻害作用を持つ異常TRの研究を通じて、TR転写抑制作用の解析をおこなった。 1.独立した三家系のRTH患者から同定した3種類のC端欠失異常TR(F451X,E449X,C446X)の機能を、種々のレポーター遺伝子を用い、基礎転写活性レベルに対するレプレッサー作用、正常TRの転写活性に対するドミナントネガティブ作用を検討した。いずれの異常TRも非常に強い抑制作用を有していたが、興味あることに、F451Xは他の2つの異常TRより有意に強い抑制作用を示した。C末端側にはTau4とよばれる転写制御領域があるが、F451XとE449X間に差がみられたことから、C端11個と13個のアミノ酸の間になんらかの重要な機能が存在すると想定された。ごく最近、転写抑制に直接関与するco-repressorが同定されたが、本研究の結果から、レプレッサー作用がco-repressorだけで規定されるものではないことが示唆された。 2.ホモダイマー形成が減弱する点変異(R338W)をF451Xに導入すると、ドミナントネガティブ作用は有意に低下し、ホモダイマー形成が関与することが示された。またT3結合領域のみからなる変異F451Xを用いた実験から、レプレッサー機能にもある程度DNA結合が必要であることが分かった。 3.TRα1とβのC端約40個のアミノ酸が完全に共通であることから、βF451Xと全く同一のC端欠失異常TRα1(αF397X)を構築し転写阻害作用を比較検討した。いくつかの標的遺伝子においてβF451XはαF397Xより、レプレッサー、ドミナントネガティブ作用とも有意に強かった。このことはTRα1とβの作用機構上の違いを示すとともに、Tau4領域欠失の意義に新しい問題を与えるものである。 4.βF451XはTRのみならずレチノイン酸受容体、ビタミンD受容体(VDR)の作用も抑制することが明らかとなった。現在、βF451X、αF397Xと他の核内受容体との相互作用を検討している。またTRとVDRのキメラ受容体を作成し、VDRとTRの作用機構上の差を追求している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)