白血病細胞における染色体転座領域遺伝子の機能の解析
Project/Area Number |
07671215
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
麻生 範雄 熊本大学, 医学部, 講師 (50175171)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 白血病 / 染色体転座 / t(8;21) / AML1遺伝子 / ETO遺伝子 / AML |
Research Abstract |
本研究では急性骨髄性白血病(AML)細胞にみられる染色体異常のうちt(8;21)とinv(16)において21q22のAML1と16q22のPEBP2β遺伝子産物が互いにヘテロダイマーを形成し、PEBP2β(あるいはCBF)というひとつの転写活性因子となることに着目し、AML細胞におけるそれらの遺伝子発言と病態との関係を解析した。 t(8;21)のAML1は骨髄系、リンパ系を問わず全ての造血器腫瘍由来細胞株でmRNAの発現を認めた。一方、ETOは骨髄系細胞には発現を認めず、リンパ球系ではB細胞の多くと一部のT細胞にETOの発現を認めた。t(8;21)は分化傾向を有するAML(FAB分類のM2)に特有の染色体異常であり、正常の骨髄系細胞では発現していないETOがAML1と融合遺伝子を形成して発現する。AML1、PEBP2βのポリクローナル抗体ではどの細胞も核が染色されたが、ETOは一部のB細胞で細胞質に一部は核が染められた。正常B細胞を活性化するとETOは細胞質から核へ移行した。したがってETOはB細胞の活性化に関わる分子でt(8;21)のAML細胞ではAML1と融合し、恒常的に核へ存在することに何らかの意義があると考えられた。 inv(16)のPEBP2βとMYH11遺伝子では、PEBP2βは全ての細胞株でmRNAの発現を認めたのに対し、MYH11は全ての細胞で発現を認めなかった。inv(16)は骨髄好酸球増多を伴う急性骨髄単球性白血病(FAB分類のM4Eo)に特有の染色体異常出蟻、正常血液細胞で発現していないMYH11遺伝子がPEBP2βと融合遺伝子を形成し発現することに意義があると考えられた。 t(8;21)とinv(16)はそれぞれAMLの病型に特有な染色体異常であるが両者はひとつの転写活性因子PEBP2βの異常であり、ともにCD34、CD117抗原を発現する未分化な骨髄系細胞の腫瘍化を来たす。これらの染色体切断点分子の機能解析は白血病の発症機構の解明とともに造血細胞の分化の機構をも明らかにする重要な研究へつながると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)