Project/Area Number |
07671217
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川口 辰哉 熊本大学, 医学部, 助手 (50244116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中熊 秀喜 熊本大学, 医学部, 講師 (90207746)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 発作性夜間血色素尿症(PNH) / 溶血性貧血 / 溶血発作 / 補体 / 隠蔽抗原 / レクチン / 補体活性化 |
Research Abstract |
発作性夜間血色素尿症(PNH)の主病態である補体介在性溶血発作に関して、異常血球の特性が明らかにされた現在、血管内補体活性化機構の解明が残された課題である。特に感染症誘発性溶血発作症例の発作時のみにレクチンによる赤血球凝集反応を認めたことから、レクチン反応性の新たな隠蔽抗原出現と、これに対応する自然抗体との抗原抗体反応による補体活性化機序を予測し、これを実証する目的で本研究を行った。 まず本症例におけるレクチン反応エピトープは、5種類のレクチンおよびポリブレンによる患者赤血球の汎凝集反応(Arachis hypogaeaに陽性、同反応の蛋白分解酵素ficinによる陰性化、polybrene陽性)より、いわゆる隠蔽抗原Thであると判断された。溶血極期患者血清には赤血球へのTh誘導活性を認めたが、回復期血清や健常人血清には認めなかった。またTh抗原は赤血球をシアリダーゼ処理することで誘導可能である。従って本活性は、病原体由来のシアリダーゼ活性が最も考えられた。次にTh陽性化赤血球に血液型一致正常血清(補体と自然抗体の供給)を作用させると、Th陽性PNH赤血球のみ選択的に溶血した。この溶血は、血清の熱処理やキレート剤添加による補体不活化により阻害されることから補体の関与が、また自然抗体を含まない臍帯血血清ではTh陽性PNH赤血球でも溶血しないことから抗Th自然抗体の関与が裏付けられた。以上の結果より、感染に伴い病原体由来シアリダーゼが赤血球に作用しTh抗原が露出され、そこに自然抗体が結合すると赤血球膜上で補体が活性化され、膜補体制御因子欠損のPNH赤血球が選択的に溶血することが示された。このような隠蔽抗原介在性溶血は複数症例で確認され、PNHの感染症誘発性溶血発作機序の一つとして重要であると考えられた。
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