Research Abstract |
1.ラット培養メサンジウム細胞(MC)の生化学的変化 ラット腎臓よりメサンジウム細胞(MC)を得た。MCを高糖濃度(250mg/dl)にて培養し,経時的に細胞溶解液を作製し,細胞内蛋白のチロシンリン酸化,pp125Focal Adhesion Kinase(FAK)の発現とチロシンリン酸化の変化などを検討した。浸透圧をそろえた,正常糖濃度にて培養したMCに比し上記パラメーターは有意の変化を示さなかった。また,無血清倍地にて一定時間培養後,MCをインスリンやインスリン様成長因子(IGF-1),TGFβ存在下にて培養したが,それぞれ対照群に比し有意な変化は認めなかった。一方,MCを持続伸展した場合には,対照群に比し,FAKやPaxillinのチロシンリン酸化が伸展群にて有意に亢進していることが認められ既に報告した(Hamasaki,Mimura,et al.B.B.R.C.1995)。これは,10%の伸展にて明らかであったが,15%伸展にては細胞の接着はむしろ減弱し,生細胞数も減少していた。これは,現在解明中であるが,過伸展にて,MCがアポトーシスに陥っている可能性が予備実験にて示された。またMAキナーゼの活性亢進も伸展刺激にて明らかであった。これらの生化学的変化は,細胞骨格阻害剤cytochalasin Dにて抑制された。 2.コラーゲンプロモーターの転写活性 I型コラーゲンプロモーター部分を含む領域をCATレポーターベクターに挿入し,MCにtransient expressionさせることに成功した。CAT活性の測定にELISA法を用いたが,感度が十分ではなかった。上記1.にて使用した種々の刺激を上記ベクターをtransientに発現させたMC(col/cat-MC)に与え,RI薄層クロマトクラフィーにてCAT活性を測定したが,有意な変化は認めなかった。一方,伸展刺激に対しては,col/cat-MCは持続伸展にて,原因は不明であるが,容易にシリコンラバーから剥離してしまい十分な細胞数を用いた検討が出来なかった。これに対しては,現在permaoent expressionの細胞を作製中であり,この方法にて再度検討する予定である。しかし少なくとも,高糖濃度,インスリン,インスリン様成長因子(IGF-1),TGFβなどは,研究代表者の系においては,I型コラーゲンの転写活性に対しては影響を与えないことが示された。
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