Research Abstract |
ネンブタール麻酔下にウサギ(JWR,3.5±0.2kg)を気管切開、人工呼吸をし、細いチューブを右下肺へ挿入し、塩酸(pH1.25,1.2ml/kg)を注入した(塩酸群)。コントロール群では塩酸の代わりにpH7.4phosphate buffered salineを注入した。好中球エラスターゼ阻害剤(ONO-5046)を塩酸投与15分前に投与する群をONO群とした。塩酸注入後30分、1,2,4,8時間後に動脈採血し、血液ガス、白血球数、好中球H_2O_2を測定し、8時間後に脱血死させ、両肺、心、肝、腎、小腸を摘出し乾湿重量比(W/D)と臓器好中球数の指標であるmyeloperoxidase(MPO)活性を測定した。また左右肺のbronchoalveolarlavage(BAL)を行い、細胞分画、タンパク濃度を測定した。 Pao_2:塩酸群では8時間後有意に低下したがONO群では変化なかった。好中球H_2O_2:コントロール群に比較し塩酸群では1,2,4時間後に有意に増加したが、これをONO-5046投与は抑制した。W/D:右肺では塩酸群、ONO群ともに増加した。左肺および小腸では塩酸群では増加し、これをONO-5046投与は抑制した。MPO活性:右肺、左肺、小腸では塩酸群、ONO群ともに増加した。BALタンパク濃度:右肺では塩酸群、ONO群ともに増加した。左肺では各群とも有意差がなかった。 以上より塩酸の片肺注入よる対側肺および小腸の血管透過性亢進、好中球H_2O_2の増加はONO-5046により抑制され、好中球エラスターゼの関与が示唆された。
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