排尿筋過反射に伴う頻尿、尿失禁の発生機序に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07671720
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Urology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 直樹 京都大学, 医学研究科, 助手 (70230810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 武彦 京都大学, 薬学部, 助手 (50271010)
奥野 博 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263079)
小川 修 京都大学, 医学研究科, 助手 (90260611)
寺井 章人 京都大学, 医学研究科, 助手 (50243019)
吉田 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (70025584)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | MPTP / パーキンソン病 / D1受容体 / 脊髄損傷 / 排尿筋過反射 / neurofilament / パッチクランプ |
Research Abstract |
1)中脳黒質のドーパミン神経に対する神経毒であるMPTPの静脈内投与によってパーキンソン病状態を呈したサルでは、膀胱内圧測定上、膀胱収縮は正常サルに比べて有意に少ない膀胱容量で引き起こされ、パーキンソン病に伴う排尿反射亢進が確認され尿失禁のモデル動物として有用であると考えられた。 2)MPTP誘発パーキンソン病サルの排尿反射亢進に対するドーパミン受容体刺激薬の効果を検討したところ、D2受容体刺激薬bromocriptineの投与により、排尿反射亢進はさらに増悪した。しかし、D1、D2受容体刺激作用を有するpergolideおよびBAM-1110の投与により、膀胱収縮を引き起こす膀胱容量が増大し排尿反射亢進が抑制された。以上より、パーキンソン病に伴う排尿反射亢進の機序として、黒質ドーパミン神経の変性に伴うD1受容体への入力の低下が考えられ、その治療としては、D1受容体刺激作用を有する薬物の投与が有効であることが示唆された。(以上の結果は、平成7年9月の第2回日本神経因性膀胱学会で発表した。) 脊髄損傷に伴う排尿反射亢進の機序を明らかにする目的で、ラット後根神経節細胞内に存在する膀胱を支配する知覚ニューロンを、膀胱壁内に注入したFast Blueの逆行性軸索輸送によって標識した後単一細胞に分離した。標識された膀胱由来の後根神経節ニューロンの面積は、脊髄損傷ラットでは、正常動物に比べて有意に増大していた。また、脊髄線維ニューロンの指標であるneurofilamentの陽性率は正常細胞で全体の30%であったのに対し、脊髄損傷ラットではその比率は約60%に増加していた。以上より、脊髄損傷に伴う排尿反射亢進の機序として、膀胱由来の知覚神経の細胞肥大に伴う組織学的変化が関与していると考えられた。 4)ラット脊髄のスライス標本を用いて、膀胱へ出力する仙髄副交感神経節前ニューロンの単一細胞活動を、パッチクランプ法によって記録した。副交感神経ニューロンは、骨髄神経に取り込ませたDiIの逆行性輸送によって標識でき、安定したスパイク発射の記録が可能となった。この手法は、排尿反射亢進の細胞レベルでの解明に有用であると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)