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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
角化細胞のturn overや上皮創傷の治癒、あるいは偏平上皮癌の浸潤、転移にはプロテアーゼが関与している。この現象は上皮細胞自身の酵素活性の変異ばかりでなく、間葉細胞のプロテアーゼやその細胞外基質の性状変化が上皮細胞の増殖分化に強く影響をおよぼすことが考えられる。そこで、正常上皮細胞の増殖や分化あるいは癌細胞におけるプロテアーゼ発現は間葉系因子によっていかなる変異を示すかを検討した。 ヒト正常口腔粘膜由来角化細胞(OMK),ヒト偏平上皮癌由来(SAS,NA,HSC2,HSC3,HSC4)の癌細胞,ヒト皮膚由来(SF)および歯肉由来線維芽細胞(GF)を用いた。MHKおよび癌細胞をtype I collagen (C1), type IV collagen (C4), laminin (LN) fibronectin (FN), gelatin (Ge) Poly-D-lysine (PDL)でコーティングした培養ディシュで培養した。また、各線維芽細胞のcondition medium (CM)を用いてMHKおよび偏平上皮癌細胞を培養した。plasminogen activator (PA)およびmetalloproteines (MMP)はzymography, immuno-blottingを行い検索した。 正常角化細胞のPAの発現はLNで培養した場合のみ対照群と比較し、その発現が増強された。しかしながら、FN,GEおよびCMで培養した場合ではその発現が強く抑制された。一方、癌細胞ではC4,LMでは発現の促進、FNでは発現抑制を認めたが、CMでは正常角化細胞と違い、発現の抑制を認めた。正常角化細胞のMMPの発現は細胞外基質の性状変化ではその発現に差を認めなかったが、CMではMMP-2,3,9がいずれも強く発現していた。癌細胞ではFNで培養した場合ではMMP-2が、さらにCMで培養した場合では対照群と比較してMMP-2,3,9がいずれも強く発現していた。 以上のことより、癌細胞におけるPAおよびMMPの発現態度は細胞外基質の性状が強い関与を示していることが判明し、癌細胞の浸潤、転移には細胞増殖因子の作用と共に、癌細胞周囲の細胞外基質の性状が強く影響されることが示唆された。
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