DNA断片化ならびに細胞内プロテアーゼの動態を指標として逆行性神経変性の検討
Project/Area Number |
07672020
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Functional basic dentistry
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 博 九州大学, 歯学部, 助手 (20155774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 健二 九州大学, 歯学部, 教授 (40091326)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 顔面神経核 / 逆行性変性 / カテプシンE / ミクログリア / カテプシンD / DNA損傷 |
Research Abstract |
抹消神経切断に伴う逆行性変性において、幼若な動物では軸策切断により速やかに神経細胞死が生じるが、成熟した動物では一部の神経細胞が長い時間をかけて死んでいくことが知られている。さらに、幼若な動物における逆行性神経細胞死はネクローシスよりはむしろアポトーシスあることが示唆されている。我々は、主要な細胞内アスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンEならびにDが中枢神経細胞の変性脱落過程において重要な役割を果たすことを示唆してきた。しかし、逆行性変性に伴う細胞内プロテアーゼの動態については不明な点が多い。そこで、本研究では逆行性変性に陥った顔面神経核ニューロンの形態学的変化を幼若、成熟ならびに老齢動物において検討すると伴にカテプシンEならびにDの動態を免疫組織学的ならびに生化学的に検討した。今回の研究結果より次のことが明らかとなった。 1.実験には5日齢、2ケ月齢ならびに30ケ月齢のラットを用い、左側顔面神経を茎乳突孔の位置で切断した。切断5-8日後、ニッスル染色ならびに3'OH-DNA末端染色法により組織上におけるDNA損傷の検出を行った結果、いずれのラットの切断側神経核においても顕著なニューロンの変性脱落は認められず、DNA損傷による陽性反応も検出できなかった。2.カテプシンEの免疫反応性は正常側神経核ではほとんど検出できなかったが、切断側神経核においては多数の陽性細胞が認められた。また、カテプシンD陽性細胞の増大傾向も認められた。3.切断5-8日後、顔面神経核におけるカテプシンEならびにDの酵素活性を測定した結果、切断側神経核における酵素比活性は正常側神経核に比べて増大傾向を示した。 以上の結果、成熟したラットでは軸策切断に伴って顕著な神経細胞死が起こらないことは確認できたが、新生児においても神経細胞死は検出できなかった。今後、さらに幼若な動物を用いた検討が必要と考えられる。切断側神経核において認められたカテプシンE陽性細胞は形態学的特徴から反応性ミクログリアと考えられる。成熟した動物の場合、逆行性変性に陥った顔面神経核ではグリア細胞による一連の修復機転が働き損傷の拡大を防ぐことが知られており、カテプシンEはこのような反応性ミクログリアの修復機構において重要な役割を果たすことが強く示唆される。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)