Project/Area Number |
07672091
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Conservative dentistry
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武内 ひとみ 日本大学, 松戸歯学部, 副手 (10130585)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 歯髄炎 / IL-6 / In situ hybridization |
Research Abstract |
歯髄炎における炎症性サイトカインinterleukin(IL)-6の機能を明らかにする目的で、in vitoroとin vivoの実験系で以下の研究を行った。 1.in vitro実験系:Lactobacillus caseiから細胞壁構成成分であるpeptidoglycan(PG)を抽出し、ヒト歯髄培養細胞に作用させ、培養液中のIL-6の濃度をELISA法を用いて測定した。その結果、PG作用の経時的、濃度依存的にIL-6の産生量が増加した。特にPGの作用後、早期にIL-6の増加が見られた。さらにPCR法を用いてIL-6のmRNAの発現についても観察を行い、PG作用によりIL-6のmRNAの発現の増強が認められた。このことから、深部象牙質鵜齲蝕に多く分離されるLactobacillus caseiにより歯髄線維芽細胞は炎症性サイトカインであるIL-6を産生し、歯髄炎の発症、進展に関わることが示唆された。 2.in vivo実験系:歯髄組織内での炎症時のIL-6の発現を観察する目的でin situ hybridization法を用いてIL-6の発現を検索した。 1)IL-6RNAプローブの作製:rat歯髄培養細胞にPGを作用させ、培養上清中のIL-6の増加を確認後、そのrat歯髄培養細胞からmRANをAGPC法で抽出し、設計したratIL-6のPCRプライマーを用いて、PCR法によりcDNAの増幅を行い、このPCR増幅産物(489bp)がgene bankに登録されているRat IL-6のcDNA塩基配列と高い相同性を確認した。このプラスミドDNAを保持する宿主細胞を培養し、集菌後、プラスミドDNAを分離した。このDNAを鋳型としてRNA labeling kit(T3/T7)(Boerinqer Mannheim社)を用いdigoxigenin-UTPでラベルされたIL-6RNAプローブを合成した。Wister系ratの臼歯を露髄させ、実験的に歯髄炎を惹起させ、通法に従い、8μmの凍結切片を作製し、HE染色と作製したrat IL-6リボプローブによるin situ hybridizationを行い、歯髄炎とIL-6mRNAの発現を観察した。その結果、露髄を行わないコントロール群においてはIL-6mRNAの発現は見られないが、露髄を行った実験群ではHE染色により歯髄炎の発症、進展が確認され、IL-6mRNAの発現が多く見られた。特にリンパ球の浸潤が多く見られる慢性炎症部より血管確徴等しか見られない軽微な炎症部位でのIL-6mRNAの発現が観察された。 以上の結果から、歯髄炎においてIL-6の発現が確認され、とくに歯髄炎の早期にIL-6の発現が見られることから、炎症の初期の段階でIL-6が関わっているものと推測された。今後、in vitro実験系においてIL-6の炎症進展における役割の解明が必要である。
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