Research Abstract |
顎機能異常や矯正治療の既往がなく,かつ2歯以上の欠損歯のない,22〜24歳の男子70名,女子32名を調査対象者とした。計測項目は以下に示す通りで,計40変数について,統計解析を行った。 1)頭部X線規格写真分析(15変数),2)食品粉砕能力(4変数),3)チューインガムの糖溶出量(2変数),4)咬筋厚(2変数),5)咬筋筋表面筋電図(13変数),6)デンタル・プレスケール(2変数),7)最大咬合力(1変数),8)下顎骨骨塩量(1変数) 結果 1)上顎長(A'-Ptm')は,すべての咀嚼機能分析項目と無相関。2)下顎長(Gn-Cd)は,食品粉砕能力(5%有意),咬筋厚(5%),および咬合面積(1%),咬合力(1%)と正の相関。3)下顎骨体長(Pog'-Go)は,すべての咀嚼機能分析項目と無相関。4)下顎枝長(Cd-Go)は,食品粉砕能力(1%),咬筋厚(1%),筋活動電位量(1%)および咬合接触面積(1%),咬合力と正の相関。5)食品粉砕能力は,咬筋厚(1%),総筋活動電位量(5%),筋活動持続時間(5%),筋活動持続時間/咀嚼周期(1%),1咀嚼当りの筋活動電位量(ITG) (1%),ITGの標準偏差(5%)と正の相関。6)チューインガムの糖溶出量は,すべての項目と無相関。7)咬筋厚は,デンタル・プレスケールの咬合接触面積(1%),咬合力(5%)と咬合力計による咬合力(1%)と正の相関。8) 1咀嚼当りの筋活動電位量は,デンタル・プレスケールの咬合力(5%),咬合力計による咬合力(1%)と正の相関。9)下顎骨骨塩量は,咬筋厚(5%)と正の相関。 これらのことから,チューインガムの糖溶出量を除く,食品粉砕能力,筋の活動電位,咬筋厚,咬合接触面積,咬合力,骨塩量は相互に関連があること。顎顔面形態の中では,下顎枝の長さが最もこれらの咀嚼機能の影響を受けると考えられる部位であり,重回帰分析結果から,この長さは,食品粉砕能力,咬合力,咬筋厚,筋の活動電位の順で強く関わり,これらのパラメータのみで約80%表現可能であることが明かとなった。
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