Project/Area Number |
07672279
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
井上 誠 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (50191888)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 没食子酸 / アクテオシド / アポトーシス / 癌転移 / 癌治療薬 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
本研究室で見出した天然化合物、没食子酸、ブリオノール酸、アクテオシドの癌細胞致死活性はアポトーシスにより引き起こされることが明らかになった。そこで、没食子酸に焦点を絞りその作用機序を検討した。没食子酸による細胞致死活性は、細胞内カルシウムキレーターのBAPTA-AM、過酸化水素分解酵素カタラーゼ、細胞内抗酸化剤N-アセチルシステインにより阻害されることより、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇と活性酸素の産生が関与することが示唆された。また、細胞内の過酸化水素、脂質過酸化物の産生を2,7-dichlorofluorescein diacetateを用いて測定したところ、没食子酸添加の2分後には活性酵素の産生が観察された。この産生はN-アセチルシステインにより抑制されたが、カタラーゼ、BAPTA-AMでは抑制されず、これらの結果は没食子酸は、まず過酸化水素などの産生を誘導し、それに続き、細胞内カルシウムの上昇が惹起され細胞死へと導かれるものと考えられた。そこで、つぎに、癌治療への応用を考え、マウス肥満細胞腫P-815細胞の肝特異的転移に及ぼす作用を検討した。没食子酸はP-815細胞の静脈内移入の前、あるいは、後より50mg/kgの濃度でi.p.,i.v.投与することにより,肝臓での転移結節数、血清GOT,GPT値の減少、さらに、DBA2マウスで延命効果が観察された。これらの作用は没食子酸の肝障害抑制用、癌細胞接着抑制作用によるものではなく、転移が成立した肝臓での没食子酸による癌細胞選択的致死活性によることが示唆された。さらに、化学発癌モデルで、前癌病変が形成された後から、没食子酸をi.p.投与することにより、前癌病変結節数、病変面積の減少が観察された。これらの結果より、in vitroにおいて癌細胞にアポトーシスを誘導する没食子酸は、in vivoにおいても同様の活性を示し癌治療薬として可能性が示唆された。
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