Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
1.本研究の対象者(以下Tと呼ぶ)は、社会の使用言語は日本語のみの環境で,日英両語の同時バイリンガルとして(主に日本で)育てられている。家庭内では,父親は日本語、母親は英語を主に用いてきた。現在,日本の小学校に通うが、日英両語で話し、聞き、読み、書く優れた4技能を有し、異文化への思考の幅を広げている。バイリンガルによる不都合な点は、心身共に認められない。 2.Tの言語習得過程を縦断的に分析するための第1次資料として、1987年2月から約9年間の育児日誌、音声記録テープ、日本および米国の学校での日英両語による作品(日誌、作文、創作物語、絵画)等を保存してきた。 3.これらの資料の内、録音テープとビデオ音声の文字化(日英)を丹念に行いながら,特に一語発話期(0 ; 8.9歳〜1 ; 6.8歳)での日英語間のコード切り替えの有無,その発達過程の特徴,2言語認識の時期などに関する研究を行った。日常生活の中でTと対話者との間て交わされた会話の分析を主な研究資料としたが,(1)コード切り替えが,乳児期からすでにコミュニケーションストラデジ-として駆使すれている様子,(2)コード切り替えが起こり得る相手,状況,また,その機能などについても明らかにした。 4.日本ではバイリンガル児の言語発達の研究,中でもコード切り替えに関する研究は皆無に等しいが,欧米では,早くから研究が行われている。特に,バイリンガル児の言語システムの単複論については,興味深い研究が所見される。子供の言語習得における育児者の言語入力の役割に関しては,その研究の集積が期待されるが,それらの研究でしばしば指摘されてきた課題は,乳児期のデータの不足とその詳細な分析である。本研究がTの一語発話期に焦点を当てた理由はそこにある。
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