Research Abstract |
平成7年度の研究により以下のような成果を得た。 1,プロトコル解析(予備実験) 空間(対面/遠隔),メディア(音/テキスト),時間(同期/非同期)をパラメータとして,ソフトウェア仕様書の共同作成の実験をネットワークを介して実施した。 この結果,コミュニケーションの複雑さ(例えば,一度に相手に投げかける話題の量)が,作業の効率,品質に悪影響を与えることが判明した(発表文献1,2)。 2,プロトコル解析(本実験) コミュニケーションの複雑さを,「会話の長さ」,「一つのメールに含まれる話題数」,「発話に混在する話題数」の諸量で特徴づけ,また,作業の品質を,「完全な会話数」,「不完全な会話数」で特徴づけて,ソフトウェア仕様書のレビュー実験をネットワークを介して実施した。 この結果,非同期の作業環境では,一回の発話か大きく,一度に様々な話題が投げかけられる傾向にあり,それが作業の完逐度に悪影響を与えることをF検定を用いて定量的に評価した(投稿準備中)。 3,作用阻害要因検出モデルと分散作業モデルの提案 分析結果(1)(2)に基づき,ネットワークを介した協調作業におけるモデルを,情報共有モデル(分散ワークスペースと自律メディエータ),コミュニケーション支援モデル(グループウェアベース)の2点にわたって提案した(発表文献3,4)。 4,プロトタイプ開発とその評価実験 上記モデルにもとづく,非同期のコミュニケーションの円滑化ツールと共有情報の変更管理ツールを開発した。 以上の研究成果により,当初の研究目的,計画をほぼ完全に達成する成果を得た。
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