Project/Area Number |
07680451
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会システム工学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土橋 律 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30237177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 敏右 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70007615)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 高分子材料 / 燃え拡がり / 火災 / 炭化 / 熱分解 / 繊維 |
Research Abstract |
本研究では、火災防御の基礎研究として、建築火災時の主な燃焼物である高分子材料の燃え拡がり機構の解明をおこなった。特に高分子材料のもつ微細構造が、燃え拡がり現象にどのような影響を与えるかについて、実験による詳細な観察、測定をおこなった。研究実績について以下に記す。 製作した高分子材料燃焼装置に種々の厚さのろ紙試料を取り付け、下方燃え拡がりの実験をおこなった。まず、試料の厚さが変わると燃え拡がり挙動が大きく変化することが明らかになった。ろ紙試料の厚さが1.5mm以下の範囲では、燃え拡がりは安定で、その速度は試料厚さにほぼ比例するが、試料の厚さが厚くなると挙動に変化が現れる。特に試料の厚さが7.5mmを超えると、燃え拡がりは不安定となり、8.4mmを超えると、燃え拡がりは持続しなくなる。 各実験において、燃え拡がりの様子を今回設計製作した顕微鏡光学系を用いて詳細に観察し、同時に温度測定もおこなった。その結果、火炎先端近傍のろ紙が表面に飛び出た繊維から黒く変色していくことが観察された。この変色はろ紙が熱分解により炭化するためであるが、ろ紙内部の温度変動とろ紙を校正する繊維の挙動を調べた結果によると、熱分解は、繊維一本一本の方向とは無関係に、表面から内側に向かって進行してゆき、熱分解による繊維の収縮が開始してから終了するまでの時間は、ほぼ1秒であることが明らかになった。また、試料内の炭化の様子は試料の厚さに依存し、繊維の収縮挙動は試料の密度に依存することおよび、試料は炭化後も繊維構造を残しており、多孔質であることが明らかになった。これらの結果により、試料が厚くなると燃え拡がりが不安定となり燃え拡がりの限界に達するのは、試料表面における炭化現象により熱移動の遮蔽ならびに熱分解生成気体の減少がおこるためであるといえる。
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