培養小脳プルキンエ細胞における長期抑圧発現の分子機構
Project/Area Number |
07680890
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
神経・脳内生理学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 丈夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50181178)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / シナプス可塑性 / 長期抑圧 / グルタミン酸受容体 / δ2サブユニット / IP3 |
Research Abstract |
運動学習の細胞レベルの一基礎過程と考えられている小脳の長期抑圧に関与する分子の同定を試み、イオノトロピックグルタミン酸受容体のδ2サブユニットおよびIP3が長期抑圧に関わっていることを示した。δ2サブユニットについては、そのmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドで培養プルキンエ細胞を処理すると長期抑圧が起こらなくなることを報告していたが、本年度はジーンターゲッテイング法により作製されたδ2欠損ミュータントマウスから培養したプルキンエ細胞が長期抑圧を発現できないこと、およびそのミュータントマウスの小脳より切り出した切片標本でも長期抑圧が起こらなくなることを示した。δ2欠損ミュータントマウスでは顆粒細胞・プルキンエ細胞間のシナプス数が減少していること、また成熟したプルキンエ細胞でも複数の下オリーブ核ニューロンからシナプス入力を受けていることも明らかになった。δ2欠損ミュータントマウスでは運動障害が観察されたが、運動学習能力にも欠陥があることを示した。δ2サブユニット欠損ミュータントマウスは、小脳長期抑圧とシナプス形成・維持・除去機構および運動制御・運動学習の神経機構との関係を解析する際に、有用な実験材料になると期待される。長期抑圧にはmGluR1サブタイプのメタボトロピックグルタミン酸受容体も関与していることは、機能障害抗体を用いた実験によりすでに報告していたが、本年度はmGluR1の活性化により生産されると考えられるIP3が長期抑圧発現に関係していることを示唆するデータを得た。IP3の受容体への結合を阻害するヘパリンをプルキンエ細胞内に注入すると、長期抑圧の発現は抑えられた。また紫外光照射によりIP3を放出するケージトIP3をプルキンエ細胞に注入し、紫外光照射をプルキンエ細胞の脱分極およびAMPA投与と組み合わせると長期抑圧を引き起こせた。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)