Project/Area Number |
07710010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Chinese philosophy
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木島 史雄 京都大学, 人文化學研究所, 助手 (50243093)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 尚書 / 字體 / テクスト / 鈔本 / 學術 |
Research Abstract |
舊鈔本隷古定尚書を見ることについては、國内現存のものをほぼ實見しおえるとともに、その複冩物についても、本研究所既収藏の物をも含めて、ほぼ入手を終わった。そこでつづいてそれらの諸本を並べて切り貼りした「諸本比較隷古定尚書」の作成に作業の中心を移した。これの完成によって、諸本の比較檢討が極めて容易かつ確實なものとなった。校訂作業は進行中であり、俄には断定できないが、現在靜嘉堂文庫所藏のいわゆる内野本を基礎にして考察を進めていってよいようである。また正始石經との関係については、現存の隷古定尚書は正始石經の直接の流れを受けるものではないと考えられる。これは、眞古分尚書から兩者が別々に流れたものとも、正始石經の古文/篆書が當時の通行のテクストから作成されたとも、隷古定尚書が後世何らかの資料から新たに作成されたものであるとも考えることができるが、いずれを取るべきであるが、現在のところ判断できない。また今回、「諸本比較隷古定尚書」を作成して、同じ系統の鈔本でありながら表記を異にするものきわめて多いこと、および石という永續性を持つ素材に刻された石經が破壊のために直系の後繼者を持たなかったことなどから、印刷/出版というメディアの強讙性と強力な浸透性が明かになるとともに、現在の學術が過去のそれとは状況を大きく異にする中で行われていることへの認識の必要性が確認された。さらに近年は文字のコード化が進んでおり、いっそうの留意が必要となるであろう。さらに一昨年の正始石經の研究では文字單體での時間的推移に注目したが、今回の研究により、手薄であった尚書という著作物としてのテクストの變遷について缺を補うことができた。
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