Project/Area Number |
07710025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
GRAWE G. 立命館大学, 経済学部, 助教授 (40261044)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 礼 / 儒学思想 |
Research Abstract |
中国儒学思想の重要な概念である「礼」の本質を明かにし、近世日本の儒学思想における「礼」の発想、あるいは現代日本における人間の行動を決める規範としての「礼」という概念の使い方と対比した。さらに、ヨーロッパの思想と比較して、とりわけドイツには振る舞い方の規則を名付けるものとしてどのような言葉があったかということを調査し、中国ないしは日本の「礼」に相当する思想はあるのかという問題に取り組んだ。その結果、ヨーロッパまたはドイツには「礼」と同等のものはないことが明かになった。翻訳上の難しさは、「礼」にぴったりあてはまる言葉がないため、場合に応じて様々な言葉で訳さなければ、意味を誤ってしまうことである。どんな文化圏においても、人間の交際に関しては普遍的な法則が望まれているが(例えば孔子の「己の欲せざるところを人に施すことなかれ」、カントの「定言的命令」)、しかし、その内容である交際の法則をどのように現実化するかということは文化圏によって相違がある。ヨーロッパでは啓蒙主義の時代以来、人間は道徳的な価値を得るために、積極的に努力しなければならないとされているのに対して、日本近世の思想は伝統に固執して、個人を問題にしなかった。東洋の道徳性の要素である「礼」は宗教的ないしは儀式的な背景から生まれたが、西洋の道徳性は社会的な要請として生まれ、個人にも高い要求を出す。東洋の「礼」は、支配の手段としても、社会全体が調和的に働くためにあったが、西洋の交際形式は最終的に人間の個人としての成功のためでもあった。
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