小規模企業を中心とした地域経済における若年労働市場と労働文化の形成について
Project/Area Number |
07710161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
田中 夏子 長野大学, 産業社会学部, 講師 (30257505)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 中小企業集積地 / 青少年 / 職業観 / 工業高校 / イタリア |
Research Abstract |
1.実施した調査の概要 中小企業の集積地である長野県坂城町および東京都城南地区において、工業高校に学ぶ青少年の労働観について、アンケート調査を試みた。調査は、高専生および普通高校工業科生を対象とするもので、両者をあわせた回収数は、約150。他研究者によって行われた北海道小樽市および岐阜県岐阜市における工業高校生調査の結果とあわせて、地域間比較を試みた。 2.調査結果の特徴 工業集積地に学ぶ工業高校生の職業志向と仕事観は、以下のような特徴を備える。第一に、彼らが「学校」をどのような場として捉えているかについてである。直接の動機としては、「工業を学びたい」という意欲よりも、「高卒資格の取得」を挙げるものが圧倒多数であるが、同時に「仲間意識」や「友達への満足度」「教員への満足度」が極度に高い。主観的には、彼らにとっての「学校」は「よき友人関係」を中心に「葛藤」が表面化しない穏やかな空間として存在する。しかしその一方で、休日などの過ごし方を見ると、在宅一人遊び型が多く、彼らの「仲間志向」は、「孤立傾向」と表裏一体のものであることがうかがえる。 第二に、学歴社会に対する激しい反感が特徴である。彼らが対抗価値として挙げるのは、「個性」「努力」「資格」「良好な人間関係」など。しかしそれらを具体的に世の中で機能させるためのアクションについては言葉少ない。 第三に、学歴社会を補強する大企業志向をある程度相対化している点。中小企業に対する見方や評価については、身近にそうした存在があるためか、比較的高い評価となている。「仕事」と「会社」を峻別し考える傾向も特徴の一つ。 第四に、尊敬する働き手として、彼らの挙げるのが、「熟練・経験者」「中間管理者」「現業部門の労働者」。いずれも企業の合理化の中で真っ先にリストラ対象となる人々だが、そうした部分に対する工業生の共感は思いのほか高い。 以上のような結果をふまえて、次回はイタリア中小企業集積地における青少年の仕事観や職業志向との比較を試みたい。
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Report
(1 results)
Research Products
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