Project/Area Number |
07710180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山田 純恵 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助手 (10262346)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 公民教育 / 女子公民科 / 女性参政権獲得運動 |
Research Abstract |
第二次世界大戦前の女子中等教育における「公民科」教育について、従来の研究においては、戦時期に向かう国家主義教育政策の一環として果たした役割に主として着眼が行われてきた。これに対して、本研究では以下の知見が得られたと考えている。(1)『教育週報』『帝国教育』など教育関係雑誌の検討によると、1920-30年代前半の教育行政が政党政治と密接な関連をもっていた状況に着眼できる。そのような状況における(男子)中学校・高等女学校という中等教育への公民教育の教科としての設置は、一方で政党政治の発展を期するための資質を養うべきである、他方で逆に政党政治から超然たる態度を養うべきである、というような多様な思惑を含んだ公民教育への期待が1930年代初期に一定の到達点に達したためであったといえる。(2)公民科教科書の記述に大正デモクラシー思想の断片が散見されることからも、公民科設置構想は、「選挙民の育成」や「社会改善」の必要、そのために男女に同等の内容の公民教育という、民主主義思想の戦前における一定の成果を内包していたといえる。ただし、教育政策の体制内における女子「公民」像は、女性の特性を必ず前提とするという点において、「良妻賢母」像や家族国家観の根底的変革を構想するものではなかった。(3)同時に、女子公民科設置の実現において女性参政権獲得運動と教育行政との接近を看過することはできない。運動における女子「公民」像は、参政権に関して温情主義的な権利付与という考え方、あるいは女性に特有の公民役割という考え方を否定する理念を有するものがあった。少なくとも1932年女子公民科設置当初は、体制内外の女子公民科に関する多様な背景・論理の相互連関の中で、女子公民教育に関する論議や実践が展開された点に着目することができるのである。
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