Project/Area Number |
07710235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
西村 さとみ 奈良女子大学, 文学部, 助手 (00263418)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 平安京 / 都市 / 「国風文化」 / みやび / 統合 |
Research Abstract |
本研究は、いわゆる「国風文化」の歴史的性格を問い直すために、文化の主たる創造の場となった平安京と、その外部世界との関係のありようを考察しようとする研究の一部であり、ここでは考察の前提となる史料の収集および整理を中心に行った。 「国風文化」が語られるとき、「日本」・「日本風(的)」といった言葉が自明のものとして使用されがちであるが、それは過去を現在の常識のなかに解消する結果となりかねない。つまり、「国風=日本風(的)」などと語るならば、歴史的に形成され、変容するその枠組み自体のありようを問い直す必要がある。また、当時の「日本」がいかなる集合体であったにせよ、その統合への力は、権力の中心である平安京から、単なる暴力としてではなく発せられていたと考えられる。いいかえれば、平安京における文化の創造が「日本」の存立と深くかかわっていたのであり、それゆえ、統合を可能にした、あるいはするために生み出された、平安京を中心とする世界観の考察が、「国風文化」の考察につながるのである。 史料の収集・整理は、基本的に、研究史を再検討するなかから導き出された、このような観点にたって行い、施政の場の再編、儀式の演出のありようとともに、歌枕、名所絵の成立や特定地域の景観を模した庭園の造営といった現象を、諸地域を統合する場としての平安京の象徴化の進展、それと表裏の関係にある周辺地域「ロマン化」のあらわれととらえた。この点をふまえて、当時の人々の認識のありようを、形成の過程も含めて、より具体的に描き出すとともに、なぜそのような形をとらなければならなかったのかを検討することが、今後の課題となろう。
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