Research Abstract |
本研究の目的は,方言や共通語,さらにはそれら言語の基盤である東北地方や東京に対する意識が,東北方言話者の方言使用(逆に見れば共通語使用)とどのような関わりを持つかという点を明らかにすることである。 東北地方の中から福島県北部地域(伊達郡)を対象とし,当地域の方言のうち共通語と形式の異なる語彙・文法・アクセントそれぞれについて項目を選定して,各カンフォーマントがそれらの形式を使用するかどうかを面接調査した。同時に留め置きの自記式アンケートを依頼し,言語や地域に対する各種の意識も測定した。臨地調査は福島県伊達郡内の7町において計146名の協力を得て行った。 面接調査の結果をもとに「方言使用度」を,アンケート結果をもとに「方言意識」「地域意識」などをインフォーマントそれぞれについて求め,相互の関係を検討したところ,例えば「方言使用は恥ずかしい」という意識を持つ話者は,「方言使用度」が低いなどといった,言語意識と方言使用との相関が認められた。 今後は,この相互関係をもとに当地域における言語意識と方言使用との間の因果関係について考察を進めていく予定である。 なお本研究の副次的な成果として,当地域における「新方言」の広がりを確認することができた。
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