正規転換期イギリスにおける階級・ジャンル・ジェンダー-E. M.フォースターとその時代
Project/Area Number |
07710338
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英米文学
|
Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
宮崎 かすみ 聖徳大学, 人文学部, 講師 (10255200)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | C. M. フォースター / ジャンル / ジェンダー / 差異 / 境界 / 変質論 / 母権論 / 言説装置 |
Research Abstract |
本研究はE. M.フォースターと同時代の、文学のみならず歴史や思想等あらゆる言説をテクストとして、様々なジャンル-階級、民族、国家、性差-をつくる境界線を強化しようとする制度側の動きと、そこから逸脱し境界線を彫り崩そうとする諸力の拮抗を明らかにすることを目指しているものである。 今年度については、まずこれらのテーマに関して現在盛んに刊行されている文献を蒐集し、整理しつつ読破することが主な作業となった。また史料についても蒐集、整理を精力的に進めているところである。 この作業では、様々な差異の境界のなかでもとりわけ性差(ジェンダー)について重点的に研究した。その結果、ジェンダーは様々な差異の砦ともいえる特権的な重要性を担っており、それ故にこそ、当時の権力が精神医学や犯罪学等の学問と結託して差異化の言説装置を作りだしていたこと、そしてその中でも当時一世を風靡していた変質論の思想が最も強力な差異の言説を提供していたことが明らかになった。変質論は、正常と異常、健常者と病者、適格者と不適格者といった差異の言説を提供し、階級外脅威に対する敵意を正当化する戦略の中心にあったのである。さらに研究の過程において、当時の社会において最も強力かつ豊富に性差のイメージを提供していたのが母権論の思想であったことも明らかになった。 本研究によって、変質論と母権論との協力関係、つまりこれらが交錯しあいながら、ジェンダーに特権的な重要性を付与するに至るからくりを明らかにすることが次なる課題として提起された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)