日本語・朝鮮語の名詞化構文の認知言語学的・類型論的研究
Project/Area Number |
07710351
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
言語学・音声学
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀江 薫 東北大学, 留学生センター, 助教授 (70181526)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 名詞化 / 言語類型論 / 認知言語学 / 連体修飾節 / 文法化 |
Research Abstract |
本研究は、日本語と朝鮮語の名詞化構文を言語類型論・認知言語学の方法論を取り入れつつ記述し、その類似点・相違点を明らかにすることを目指した。その結果以下の諸点が明らかになった。 (1)日本語の名詞化構文・連体修飾節に用いられる名詞化辞のうち、「の」は、他の名詞化辞「こと」や「ところ」と異なり、語彙的な意味の残存度がより一層少なく、このことが、「の」が極めて広範囲にわたる名詞化構文において用いられる原因になっている。 (2)朝鮮語の名詞化構文においては、名詞化辞「kes」がかなり広範囲に用いられているが、日本語の「の」と異なり、「kes」には『もの・こと』といった語彙的な意味が残存しているため、分裂文(日本語:【昨日いらっしゃったの】は田中先生ですか?)や主要部内在型関係節(日本語:【りんごがむいてあったの】を誰が食べたの?)といった構文への生起が妨げられる傾向が見られる。 (3)ただし、朝鮮語の「kes」は、使用範囲が個人によってかなり異なる傾向があり、日本語の「の」と同じように分裂文・主要部内在型関係節における「kes」の使用を容認する母語話者も少数であるが存在することが聞き取り調査の結果確認された。この傾向があくまで一部の母語話者にとどまるか、あるいはより広い範囲に広がるかは、言語表現の文法化・形式化という観点から非常に興味深い重要な問題である。 以上の調査結果をふまえて、今後は中国語・英語の名詞化構文をも考察対象に加えて名詞化構文の類型化・記述をさらに精密なものにしていきたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)