Project/Area Number |
07720028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 文 岡山大学, 法学部, 助教授 (40230445)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 訴訟上の和解 / 民事紛争解決 / 訴訟指揮 / 手続保障 / 既判力 / ADR |
Research Abstract |
訴訟手続において、裁判所の判決ではなく当事者の合意に基づく紛争解決を推進するのが、近時の世界的な潮流である。その代表的な方法が、判決を担当する裁判官の仲介・説得にかかる訴訟上の和解勧試であり、わが国でも盛んに行なわれている。現行法上、裁判所にはいつでも和解勧試をする裁量が与えられているが、特に最近では、弁論兼和解手続により、和解勧試と原則的な口頭弁論の境界線が不明確となり当事者への手続保障の点で問題が生じている。しかし他方で、このような和解的手続への柔軟な移行を含む積極的な訴訟運営が、訴訟の迅速化・効率化に資するものであって、実務的な要請の強いことも、無視できない。 本研究では、このような手続の流動化・柔軟化傾向が、本来当事者間での自律的な交渉過程として構築されるべき和解手続への裁判所の無限定なパタ-ナリズムを許す虞れがあると考え、訴訟指揮に何らかの準則を設けるべきとの問題関心から、主としてわが国とアメリカ合衆国連邦裁判所における和解手続への裁判所の介入態様について研究を進めた。他方、当事者サイドの紛争解決ニーズを分析するために、裁判所と直接的に連携するADR(調停・仲裁)や裁判所外ADR(弁護士会主宰の仲裁センター)における手続のあり方について、各地の弁護士との意見交換を行ないリサーチに務めた。また、アメリカでは、主として訴訟の迅速化のために、訴訟手続内で判決担当裁判官以外の者が行なう仲裁・調停や略式陪審(Summary Jury Trial)といった手続が勧奨されているが、その際の裁判所の行為規範と、裁判所の介入態様のもたらす和解結果の無効可能性について提出された多くの議論・判例についても収拾を進めてきた。現時点では、これらの情報を整理・分析して一定の方向を見出そうとしている途上であるが、従来和解手続をめぐる裁判所の手続裁量を統一的に捉える視点が無かったことに鑑み、慎重な考察を加えた上で、近々に研究実績として公表する予定である。
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