Research Abstract |
本研究では,経済メカニズム論の理論的なフレームワークをもちいて,完全な達成可能性とよばれる性質を満足する資源配分メカニズムとその可能性について検討をくわえた.資源配分配分メカニズムの完全な達成可能性とは,均衡となる戦略以外の戦略がメカニズムにたいして伝えられるときにもメカニズムが経済全体と個別の経済主体の双方にとって可能な資源配分を割り当てるということである.この性質が満たされていれば,そのような資源配分メカニズムは,各主体が何らかの理由で正確に自らの戦略を伝達させることができないときでも均衡の相当に近傍にある資源配分をわりあてられるのである.この完全な達成可能性に焦点を絞って検討した結果,このような制約条件を資源配分メカニズムに課すと厚生経済学の基本定理で特徴すけられるワルラス配分が必ずしも割り当てられるとは限らず,ワルラス配分の性質を満たす配分のうちの一部だけが割り当て可能であることが例示された.一方,この条件を課さない場合は,これまでのさまざまな研究で提案されたメカニズムが均衡においてワルラス配分の性質を満たす配分のどれでも割り当てることができることを示している. 今回の研究は,現時点では,これまでの経済メカニズム論で取り上げられてきたものと同じ純粋交換経済のモデルでなされてきた.今後は,この経済主体として消費者のみを含む純粋交換経済の経済環境に生産者を加えた経済環境で今回の研究の様な資源配分メカニズムの設計可能性について研究する必要があると思われる.
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