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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
1995年度の研究ではまず,昨年度から推計を開始した1990年環境分析用産業連関表を完成させた.環境分析用産業連関表は経済を約400部門に分割し,それぞれが消費するエネルギー量と,それによって発生するCO_2排出量を明らかにした表である.この表を伝統的な産業連関分析に当てはめることによって,ある産業の生産活動に直接関わるすべてのエネルギー消費量とCO_2排出量を計算できる.そのような計算によると,1990年に日本全体で排出されたCO_2量は約12億tで,1985年の10億tに比べると,2割の増加であった. 今年度は,完成した表を用いて次のような分析を中心に研究をすすめた.その第1は,家計の消費活動にともなうエネルギー需要誘発についてである.この研究では家計が使う財の生産・流通・消費の段階でどれだけのエネルギー消費が引き起こされるかを計算した.さらに,それを家計調査のデータとリンクし,家計簿とエネルギー消費がいったいどんな関係にあるかを,一般にも分かりやすく示した.それによると各個人は1990年に20.8Gcalのエネルギー需要を引き起こした.そのうち,住生活関係から22%,食生活関係から13%が引き起こされている.研究の第2は,自動車のライフサイクルアセスメントに関する実証研究である.ライフサイクルアセスメントは製品が土から生まれて土に帰るまでにもたらす環境負荷を明らかにしようという考え方であるが,それを自動車に適用した訳である.それによると普通自動車1台が1年あたりに排出するCO_2は生産のために1158kg,資本設備の投下のために114kg,補修・補填のために268kg,走行のために5083kgという結果であった.乗用車は走行時のCO_2排出量がとくに大きいことがわかった. そのほかに,国際的な視野の環境分析にもとりかかった.つまり最近環境状況がとくに厳しいといわれる,中国遼寧省瀋陽市の経済活動と大気汚染状況について調査・研究に着手した.そしてもし中国で日本と同様の先進技術が取り入れられたら,どのような環境改善効果が見られるかをシミュレーションしたいと考えている.シミュレーションにあたっては,環境分析用産業連関表の情報を活用していく予定である.
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