Research Abstract |
この研究では数域半径が1以下となるいわゆる数域縮小作用素の構造についての研究を行った.特に数域縮小作用素は空でないコアを持つことに着目して作用素TとそのコアZ(T)との間の関係についての研究を行った. 具体的には正規な数域縮小作用素Tに対しては,そのコアZ(T)が作用素区間になるための必要十分条件はTがユニタリー作用素と恒等作用素Iのスカラー倍との直和でかけることで決定できることが分かった.しかしながら非正規の場合は未だ未解決で,コアのいっそうの解析が必要でこれからの研究対象である. またある数域縮小作用素のコアが一点集合になる際,その一点になりうる作用素として零作用素とI【symmetry】-Iが典型的な作用素として現れることが分かった.これらの作用素は各々ユニタリー作用素とある特別な型の作用素のコアとして現れ,本質的な場合と思われる. 更にコアZ(T)に含まれる作用素の解明については||T||【less than or equal】1のとき,作業素区間[0,I-|T|^2],[|T^*|^2-I,0]が共にコアZ(T)に含まれることが分かった.しかしながらこれで全てというわけではなく,他にどのような作用素がコアに含まれるかが今後の課題である. 数域縮小作用素Tのコアに含まれる作用素Z∈Z(T)に対してはT=(I+Z)^<1/2>K(I-Z)^<1/2>なる縮小作用素Kが存在する.このときZ,Kから定まる作用素(I-Z)^<1/2>(I-K^*K)(I+Z)^<1/2>,(I+Z)^<1/2>(I-KK^*)(I+Z)^<1/2>を用いてTの数域縮小拡大が構成できることが分かった.ここでZ∈Z(T)の取り方によって構成される拡大は異なるため,これら拡大の相互の関係の解明が重要になると思われる. 今後は上記の結果をふまえながら数域縮小作用素のコアに含まれる作用素についての研究を進めたいと考えている.
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