Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
不適切線形方程式の効率的な数値解法の確立についての研究を重点的に行った.従来,不適切線形方程式は行列の特異値分解法を用いることにより数値的に解くことができる.しかし,この方法では計算量が多くなるという欠点があり,大規模な問題に対しての適用は困難である.この問題について我々は方程式の係数行列に対してQR分解を3回施す方法を提案し,その有効性を立証した.当初我々はQR分解を行うためのベクトルの直交化法として修正グラム・シュミット法を用いたが,計算効率,必要なメモリ量の観点からはハウスホルダー法を用いたほうが効果的であると考えられた.事実我々が行った数値実験ではハウスホルダー法を用いたほうが計算量も少なく済んだ.さらに,ベクトルの直交化の精度についても修正グラム・シュミット法を用いるよりもハウスホルダー法を用いたほうが有利である.この事実は悪条件問題の数値解法においては特に意味がある.また,今回我々は,2回のQR分解で同様の効果が得られる可能性について研究した.3回のQR分解を用いる方法では1回目のQR分解のとき,行列の列に対してピボッティングを行ったがそれを行と列の両方についてピボッティングを行う方法である.これにより効率的に係数行列の対角優位性を高めていくことが出来るであろうと期待される.しかし,この方法はプログラミングが難しくなるという欠点がある.また,列置換,行置換の情報を残しておくための余分なメモリも必要となる.この方法のさらに簡潔なアリゴリズムの記述と効率的なメモリの使い方の探究などが今後の課題である.
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