無限個の正則化場にもとづくカイラルゲージ理論の非摂動的定式化とその応用
Project/Area Number |
07740218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
素粒子・核・宇宙線
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊川 芳夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20252421)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / カイラル対称性 / カイラルゲージ理論 / アノマリー / ダブリング問題 / グリボフコピー / ゲージ固定 |
Research Abstract |
平成7年度には、格子正則化にもとづいて、vacuum overlap formulaに本質的な無限和を有限和(体積)からの極限として定式化し、カイラルなスペクトラムやゲージ不変性がどの様に実現されるかを摂動的に調べた。その結果、以下のことが明らかになった。有限体積化のために、boundaryに逆のカイラリティをもつdoublerが現れ、overlap formulaのゲージ不変部分への寄与は、kink-massによるゼロモードとあわせてvector-likeになっている。しかし、subtractされるPauli-Villars場にも同様のdoublerが生じるため、総和として、ゲージ場有効作用のparity-even項はWeylフェルミオンのnormalization を正しく再現していることがわかった。また、overlap formulaの位相部分は4次元においても、consistent anomalyを再現することが計算によって、確かめられた。この結果は、International Symposium on Lattice Field Theory, Lattice95(於University of Melbourne, Australia)において発表し、他の研究者との議論や情報交換を行った。 一方、京都大学およびKEKのスーパーコンピュータVPP500を利用して行った計算により、このoverlap formulaに関連して、次の様な数値的結果が得られた。2次元torus上の(anomaly freeな)chiral Schwinger modelおいて、一様なゲージ場のゲージ軌道上でゲージ自由度の積分を行うと、overlap formulaによって与えられるフェルミオン行列式の複素位相はゼロになり、行列式は実数になる。これは、格子サイズのゲージ自由度の揺らぎによって、species doublerの寄与が顕著になり、摂動で得られるカイラルなスペクトラムの複素位相が相殺されるためと理解される。上記の計算は、このspecies doublerの影響をoverlap formulaについて直接、確かめたものである。 この様なゲージ自由度の格子サイズの揺らぎを抑える方法として、ゲージ固定をする方法とゲージ場の連続極限への内挿と連続極限のフェルミオン行列式の定義にもとづく構成法が提案されている。この問題についても、ゲージ固定や、ゲージ場の内挿によって抑えられたゲージ自由度の揺らぎが、行列式の位相にあたえる影響を数値的に調べてきた。特に、ゲージ固定によって現れるGribov copyとそれに対応する格子サイズのtopological defectが行列式の位相に与える影響を考察し、大域的なゲージ固定処方として提案されている方法の有効性の評価を行っている。 現在までに得られた結果によれば、Landauゲージへのゲージ固定においては、Gribov copyとそれに対応する格子サイズのtopological defectが位相を大きく変化させる。そのため、ゲージ軌道上で位相を一意に決めることは困難である。それに対し、Laplasianゲージ固定処方によれば、十分小さなゲージ結合定数の下で生成される配位について、格子サイズのtopological defectを含まないなめらかな配位が一意に得られることが明らかになった。しかし、大きなゲージ結合定数下では、ゲージ場の配位の揺らぎは大きく、Laplasianゲージ固定処方によっても、格子サイズのtopological defectが避けられていない。この点に関しては、より有効なゲージ固定処方を考案する必要がある。以上の数値計算による研究の成果は、現在、論文にまとめている段階である。
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Report
(1 results)
Research Products
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