Project/Area Number |
07740272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天谷 健一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70261279)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 重い電子系 / 超伝導 / FFLO状態 / 常磁性効果 / odd-parity |
Research Abstract |
高純度UPt_3の極低温DC磁化測定から磁場‐温度(H-T)相図を得た。この相図において、B-C転移が予想されている磁場付近でわずかな磁化の異常が観測された。他の測定手段(熱磁気効果、比熱)から見積もられる磁化の跳びの大きさとの比較からも、この磁化の異常はB-C転移にともなうものと考えられる。また、上部臨界磁場H_<C2>直下で非可逆磁化のピークが観察され、Fulde-Ferrel-Larkin-Ovchinnikov(FFLO)相との関連も考えられたが、混合状態からFFLO状態へ移るときに生じるはずの1次転移的兆候が実際の測定では観測されなかった。このことから、このピークはFFLO転移によるものではなく、C相のみで起こるピーク効果によるものと考えられる。上記の結果と比較するために、FFLO状態が実現していると考えられているCeRu_2(多結晶)をアーク炉で作製し、同様に磁化測定を行なった。しかし、粉末化し、磁化のヒステリシスをほぼゼロにしたCeRu_2試料では、1次転移的兆候が全く観測されなかった。重い電子系超伝導体UPt_3及びCeRu_2では、FFLO状態は実現していないと考えられる。 UPt_3の(H-T)相図で見られるように、H⊥cとH//cにおけるH_<C2>の、大きさが高温と低温で逆転していることから、H//cにおける強い常磁性効果が示唆される。混合状態における常磁性応答を詳細に調べるために、熱平衡磁化M_<eq>を調べた。その結果、常磁性磁化率の小さいH//cで、常磁性効果がM_<eq>に観測されたが、H⊥cでは常磁性効果は全く観測されなかった。一般に、even-parity pairingでは、スピン常磁性の寄与が存在する場合、常磁性磁化率が大きい方向ほど、常磁性効果が顕著になるはずであるから、UPt_3の常磁性効果はeven-parity pairingでは説明できない。これはUPt_3においてodd-parityが実現している可能性を示唆する。
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