YBa_2Cu_3O_<7-δ>膜の方向別電流電圧特性による磁束運動の研究
Project/Area Number |
07740283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野島 勉 千葉大学, 理学部, 助手 (80222199)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 電流電圧特性 / 混合状態 / 磁束ガラス-液体転移 / 磁束線構造 |
Research Abstract |
層状構造を持つ高温超伝導体では、混合状態において磁場をab面に平行付近にかけた場合、磁束線には強いピン止め(本質的ピニング)が働くことが理論的に指摘されている。しかし本研究者は、これまでYBa_2Cu_3O_<7-δ>(YBCO)膜の電流電圧(I-V)特性の異方性を測定し、少なくともグラス転移温度T_g近傍では本質的ピニングの影響は見られないことを明らかにしてきた。この矛盾を明らかにするためには、単なる電気抵抗やI-V特性ではわからない、磁束線がどの温度で生成され始め、どの様な構造で侵入し、運動するのかという問題を直接調べる必要ある。そこで、レーザーアブレーション法で作成したYBCO膜を用いて、磁場をab面内で電流方向(x方向)に対し45°回転し、c軸(z軸)方向にθ=5°傾けた状態でのI-V特性を測定した。この場合、磁束にかかるロレンツ力はF_L=-J×B〜(0,-JBsinθ,JBsin45°)で表され、磁束の運動v=(0,v_y,v_z)によって生じる電場はE=(-v_zBsin45°+v_yBsinθ,v_zBcos45°,-v_yBcos45°)となる。よって温度の下降とともに直線的な磁束線が生成される様子は、xとy方向の電場の比|E_y/E_x|が0から1となることで観測できる。さらに本質的ピニングが働きはじめ磁束が階段状になると、z(c軸)方向の運動が押さえられるため再びこの比が0になることが予測される。 実際にB=4,6,8Tの磁場中で実験した結果、どの磁場中においても|E_y/E_x|は温度の下降と共に、磁束グラス転移の臨界領域に入るとほぼ同時に有限な値を示し始め、T_gをmidpointとして1に転移した。これは磁束グラス転移と共に、直線的な磁束が生成されることを意味し、本質的ピニングの効果が現れないこれまでの結果とつじつまの合うものである。さらにグラス転移が真の超伝導転移であるという予測とも一致する。本研究では、この直線的な磁束が階段状に折れ曲がる現象は少なくとも50Kまで観測されなかった。
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Report
(1 results)
Research Products
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