Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ペロフルカイト型マンガン酸化物(R, A)MnO_3の物性を理解するために二重交換模型を研究した。実験と直接比較しうる幾つかの物理量を計算し、パラメータの見積もりを行った。 1 無限次元の極限における強磁性、反強磁性の磁気秩序転移温度をホールのドープ量の関数として求め、強磁性と反強磁性の競合を研究し、相図を求めた。(La, Sr)MnO_3の磁気相図と定量的に一致することが示された。 2 低温強磁性相におけるスピンの動的振る舞いをスピン波近似(1/S展開)で研究した。スピン波の分散関係を求めた結果、(La, Pb)Mnそ_3における非弾性中性子散乱のデータをよく再現することがわかった。これにより伝導電子のバンド幅やフント結合の大きさが見積もられ、磁気転移温度も同時に矛盾なく説明された。 3 磁気的秩序が存在する温度領域における光学伝導度σ(ω)を無限次元の極限で計算した。磁化の変化に伴うσ(ω)の温度変化が見られた。赤外分光実験でみられるスペクトルのシフトについて定性的な説明を行った。 4 低温強磁性相にクーロン相互作用と電子状態について定式化した。この結果強磁性相においては軌道揺らぎの効果が非常に重要になることが明らかになった。これにより、(La, Sr)MnO_3等の光学伝導度において観測されているDrude weightの異常な温度変化の起源として、軌道自由度間のクーロン相互作用の効果が示唆された。 上記の通り、この模型の性質を正確に求めることにより(La, Sr)MnO_3や(La, Pb)MnO_3の実験結果を再現し得ることがわかった。したがって今後もこの模型の研究を続けることはマンガン酸化物における物理特性の定量的な制御や物質開発などに非常に重要な役割を示すと考えられる。
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