Project/Area Number |
07740287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島津 佳弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70235612)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 微小トンネル接合 / 超伝導 / 超伝導絶縁体転移 / ジョセフソン効果 / 帯電効果 / 散逸 / 量子抵抗 / リ-ド抵抗 |
Research Abstract |
超伝導電極をもつ微小トンネル接合(微小ジョセフソン接合)では、散逸の強さをパラメータとして超伝導絶縁体転移が起きることが理論的に予想されているが、実験的にはこのような転移はまだ確認されていない。接合のごく近くに並列に短絡抵抗を付けることによって散逸の強さを制御し、予想されているような転移がみられるかどうかを調べることを第一の目的として、本研究を行った。 単一接合を実験的に調べるときの最大の問題は、リ-ドが顕著な影響を与えることである。リ-ドの影響を小さくするためにはリ-ド抵抗を量子抵抗h/e^2より大きくしなければならない。そこで、リ-ドに使用するための、抵抗の高いNiCr薄膜の作製条件について調べた。そして、面抵抗1kΩ程度の薄膜が安定に作製される条件を見つけた。微小トンネル接合は、電子線リソグラフィーとAlの斜め蒸着によって作られた。 まず、短絡抵抗を接続しない状態で、単一接合の電気伝導のトンネル抵抗に対する依存性を調べた。単一接合のゼロバイアス微分抵抗の温度依存性を高抵抗リ-ド線を用いて測定した結果、トンネル抵抗が12kΩ程度以上のときは接合は絶縁体的にふるまい、7kΩ程度以下のときは超伝導的になることがわかった。この結果は、超伝導絶縁体転移の臨界抵抗が量子抵抗h/(4e^2)程度であることを示唆している。この結果も散逸による相転移として解釈することができ、理論的予想との比較を行った。リ-ド抵抗の低い場合の測定結果と比較することで、接合の本来の伝導特性を調べるためには高抵抗リ-ド線を使用することが不可欠であることもわかった。 次に、短絡抵抗が付加された接合の作製条件を調べた。接合の短絡抵抗としても、電子線リソグラフィーで加工したNiCr薄膜を使用することにした。Alの接合と、NiCrのリ-ド線及びNiCrの短絡抵抗の接続のためのマスク合わせは、基板上の目印を電子顕微鏡で観察しながら行い、約0.2μm位の精度が得られるようになった。Al薄膜の上にNiCrを重ねて蒸着した部分に関して、良好な電気的接続を得るために、電子線衝撃によるAl薄膜の表面の洗浄を試みた。電子線の強度や、電子線を当てる時間の条件を詳細に調べた結果、良好な接続を得るための条件がほぼ明らかになった。現在、量子抵抗より大きいトンネル抵抗をもつ接合に対しいろいろな値の短絡抵抗が接続された試料を作製し、電気伝導の測定を進めている。
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