層状有機超伝導体における量子磁束の層間分断とそのダイナミクス
Project/Area Number |
07740294
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊東 裕 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10260374)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 有機超伝導体 / 交流磁化率 / 周波数依存性 / 量子磁束 / 表皮効果 / 層間分断 |
Research Abstract |
2次元構造を持つ層状有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Br、κ-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2及び酸化物超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_8について、2次元面に垂直な直流磁場下での交流磁化率を、用いる交流磁場の方向と周波数を変化させて測定した。その結果、量子磁束のダイナミクスと2次元性にかかわる知見を得ると共に、交流磁化率に対する表皮効果の影響を明らかにした。 交流磁場が2次元面に垂直のときの交流磁化率の周波数依存性は、遮蔽電流が2次元面内を流れるため等方的な理論モデルを用いて解析することが出来る。周波数が1kHz以下では量子磁束のピンニングの寄与が支配的であるが、周波数が1MHzを越えると、これに加えて磁束フローや準粒子による表皮効果の影響が無視できなくなる。中間の周波数では周波数が高くなるにつれ、表皮効果の寄与が徐々に大きくなっていくことが示される。本研究において、6桁に及ぶ広い周波数領域での交流磁化率の振舞いが、量子磁束のダイナミクスと表皮効果の寄与の相対的な大きさの変化として、1つの理論的枠組みの中で理解できることが示された。 一方、交流磁場が2次元面に平行のときは、系の2次元性が顕著に現れるため交流磁化率の挙動は垂直の場合と大きく異なる。このとき交流磁場を遮蔽する電流は2次元面に垂直な方向にも流れるが、この方向への超伝導電流は、層間の熱ゆらぎによって量子磁束が層間に分断され2次元的なパンケーキ磁束になる領域では抑制される。調べた3つの層状超伝導体について、この磁場配置での交流磁場遮蔽のオンセット温度は用いる周波数への依存性が少なく、量子磁束の層間分断温度に対応する。この温度は2次元性が強い物質ほど低温側にシフトし、熱ゆらぎの増強によってパンケーキ磁束になる温度領域が広がることに対応している。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)