Project/Area Number |
07740314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 雄介 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20261547)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 可解模型 / サザ-ランド模型 / t / J模型 / 熱力学 / 分数排他統計 / スピン荷電分離 / スピノン / ホロン |
Research Abstract |
1.本研究において、まず1/r^2型相互作用を持つ連続体模型、超対称t-J模型に対する厳密な熱力学を構成した。解析的な手法を用いて上の模型は自由な分数統計粒子と熱力学的に等価であることを示した。また超対称t-J模型の比熱、スピン感受率、電荷感受率の温度依存性を計算し、それらの結果から有限温度においてもスピンと電荷の分離現象が起きていることを見いだした。この現象は他の模型では見られないものである。よって我々はこの模型を、Tomonaga-Luttinger液体に対する基本的な模型として位置づけた。 次に超対称模型を多成分系に拡張し、その熱力学を構成した。その結果(1)低温においては、スピンと電荷が起こること(2)磁場がかかっているときは、各成分が自由な分数統計粒子になること(3)磁場がかかっていないときは、各成分がパラ統計という別のタイプの分数統計粒子になること、がわかった。これらの結果から、内部対称性と分数統計描像との関係が明らかになった。 以上し1/r^2型相互作用を持つ一次元可解模型についての成果である。この他に、ベ-テ仮説で解くことのできる可解模型と分数排他統計との関連を議論した。特に反強磁性ハイゼンベルグ模型と他成分分数統計粒子は熱力学的に等価であることを示した。この結果は、分数統計の概念が、1/r^2型相互作用を持つ一次元可解模型にとどまらず、広いクラスの一次元量子系に当てはまることを示唆するものである。 まとめると、可解模型の熱力学の研究を通じて、新しいタイプの素励起描像が得られたことが本研究の主要な成果である。その素励起描像の現実の系における妥当性は比熱、帯磁率などの熱力学量を実験的に観察することで検証可能である。
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