Project/Area Number |
07740338
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
|
Research Institution | Institute Fundamental Chemistry |
Principal Investigator |
田崎 秀一 財団法人基礎化学研究所, その他部局等, 研究員 (10260150)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | カオス力学系 / 周期的公理A系 / フロベニウス・ペロン演算子 / ポリコット・ルエルの共鳴 / 決定論的拡散 / フラクタル分布 / フレドホルム理論 |
Research Abstract |
非線形系の研究は応用面においても重要だが、解析的にこれを行なうことは一般には困難である。本研究では密度分布関数のレベルでいくつかのカオス力学系のふるまいを解析的かつ厳密に調べ、以下の結果を得た。1)保存的な決定論的拡散モデルにおける非平衡定常状態の研究:多重パイこね変換と呼ばれる保存的な決定論的拡散モデルにおいて様々な非平衡定常分布を特異不変測度を用いて構成した。そして経験則と合う定常状態が「延びる方向に沿う分布が滑らかである」という条件で特徴付けられることが分かった。この結果はP. Gaspard氏(ベルギー、ブリュッセル自由大)によって、発見的にローレンツ気体に拡張されたが、同氏と共同して周期的公理A系の場合、この結果が厳密に導けることを示した。以上の結果は力学の可逆性と熱力学の不可逆性の関係を明らかにする上で重要な情報を提供するものと期待され、原理的意義は非常に大きい。2)Cat写像におけるフロベニウス・ペロン演算子のスペクトルの研究:マルコフ分割を持つ任意の写像に使えるフロベニウス・ペロン演算子の固有値問題の解法(分布関数の時間発展から指数緩和する項を系統的に分離する方法)を開発し、可微分なカオス的写像の典型例であるCat写像に適用した。この結果、高次の緩和率が縮退しているにもかかわらずフロベニウス・ペロン演算子がジョルダン・ブロックの構造を持たないことが分かった。これはパイこね変換の場合と対照的である。1)同様P. Gaspard氏との共同研究。3)フレドホルム理論を用いた2次元量子ビリヤード系の研究:近年、カオス系である2次元ビリヤードを量子化した系の固有値問題にフレドホルムの積分方程式論が適用可能であることが指摘された。この理論を用いて固有値問題にに現われるフレドホルム行列式がエネルギーの関数として絶対収束するオイラー型の無限乗積(零点は固有値)に展開できることを証明した。原山氏(ATR光電波通信研究所)、首藤氏(分子科学研究所)との共同研究。
|