高分子の結晶化におけるメゾスコピックな秩序形成と動的構造
Project/Area Number |
07740342
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学一般
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 正幸 東京大学, 物性研究所, 助手 (60251485)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 高分子 / 結晶化 / 誘導期間 / ポリエチレンテレフタレート |
Research Abstract |
高分子物質を非結晶状態から結晶化させると、ランダムに絡み合った一次元の高分子鎖が,秩序だった格子を組み始めるいわゆる、結晶核形成過程が観察される。この結晶核形成には系が結晶化条件に達してから実際に結晶化が開始するまでに誘導期間と呼ばれる過渡的な時間の経過が必要となる。我々は、従来殆ど解明されていなっかた結晶化誘導期に着目して研究を進め、この結晶化が開始する以前の段階においてメゾスコピックスケール(〜10nm)で密度と配向のゆらぎによる新しい秩序化過程を見い出した。当該年度においては、このメゾスコピックスケールでの新しい秩序形成と原子オーダーのミクロスコピックスケールでの構造形成を対応させるため、赤外吸収分光測定および広範囲中性子弾性散乱測定を行った。特に赤外吸収分光測定は同時DSC(示差熱分析)測定できる装置を用いマクロスコピックな結晶化誘導期を捉えながらin-situで分子鎖のゴ-シュ形からトランス形へのコンフォメーション変化を時間発展的に追跡した。その結果トランスコンフォメーションが結晶化によるパッキングが開始する前の誘導期において増大していることを直接的に明らかにした。この結果を小角X線散乱、小角中性子散乱、偏光解消光散乱の結果と併せると、誘導期におけるゴ-シュ形からトランス形へのコンフォメーション変化を引き金にして分子鎖の持続長が増大し、これが排除体積効果による分子鎖の平行配向化を進めて、上述のメゾスコピックスケールでの密度と配向のゆらぎをもたらすという我々のモデルを裏付けることができた。さらに、広範囲中性子弾性散乱測定により、このように形成されるメゾスコピックスケールでの密度ゆらぎが結晶化による分子鎖のパッキングよりかなり前の段階で形成されることも直接的に示された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)