南極東クイーンモードランド沖における海氷分布と海洋構造の特性
Project/Area Number |
07740390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Meteorology/Physical oceanography/Hydrology
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
牛尾 収輝 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (50211769)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 南極 / 海氷 / 海洋構造 / ポリニア / 大気海洋相互作用 / 対流混合 / 深層水 / エントレインメント |
Research Abstract |
南極東クイーンモードランド沖の季節海氷域である、南緯65度以南、東経20度〜50度の海域に焦点を当て、海氷分布と海洋構造の特性を調べた。これは南大洋における海氷域の果たす役割解明を目的とし、大気海洋間相互作用の理解にもつながる。そこで、インド洋セクターにおいて継続されてきた、日本南極地域観測隊による豊富な海洋観測データおよび昭和基地で受信された人工衛星画像の情報、気象観測データを基に、対象海域の海況特性の抽出を試みた。その結果、以下のことが明らかになった。先ず、沿岸定着氷野と沖合流氷域の間で形成されるポリニア(海氷域内開水面)の形状や面積は、大陸沿岸付近で卓越する東風の変動と連動しているが、年間を通じてほぼ同じ位置に維持されている。この位置は大陸斜面上に相当する。ポリニア域では冬季、活発な海氷生産が起こっていることを航空機観測で確認しており、この海氷生産に伴う対流混合が海洋構造の特徴形成に及ぼす影響を評価するのに最適なモデル海域と云える。つまり、表層の冬季混合層の下には相対的に高温、高塩分、貧酸素の深層水が存在し、この水塊の表層への取り込み(エントレインンメント)現象の可能性を持つ。ポリニア域における水塊解析の結果、深層水のエントレインメント現象が明瞭に捉えられた。これは、熱・塩・物質(化学成分、ガス等)輸送も活発に起こっていることを示唆するもので、従来から指摘されていた、ポリニア域の活発な大気海洋間相互作用を水塊特性の観点から立証したことになる。このような現象が、大陸周辺の他の海域でも起こっているかどうかを精査することが今後の課題であり、現場観測データの更なる蓄積と、大気場変動との関連も含めた、総合的な研究が必要である。そこで、今後の研究アプローチの一つとして、種々の海洋化学データの詳細な解析とともに、将来の現場観測計画の立案を幅広い研究分野において行うことが重要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)