Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では、沖縄から得られた海生オストラコーダについて、その生態と生物地理に関する解析を行った。さらにこれによって得られたオストラコーダの生態的特性についての知見をもとに、その生物地理的な分散様式についてのモデルを構成し、計算機シミュレーションを開始した。 オストラコーダの分布能力は、その生活様式に強く規制されていると考えられる。たとえば、容易に海流に乗って運ばれるような海藻の葉上に生息するタクサや、移動中の海藻に付着する能力の著しく高いタクサは、より広い分布をもっているかもしれない。 そこでインキュベータ-中でオストラコーダの飼育実験を行うとともに、微小生物の活動の観察が可能な小型水槽を作成し観察を行った。また7月に沖縄にてサンプル採取を行うとともに、オストラコーダの生態観察を行った。オストラコーダの生息微環境の違いにたいする嗜好性を識別するため、サンプルはさまざまな環境の岩礁地から採取した。またオストラコーダの生息様式をより正確に決めるため、海藻サンプルはタクサごとに区別し、いくつかのものについては海藻の各部分ごとに切断した。また浮遊している流れ藻も採取した。さらに生息場所の底質の粒度分布を解析するため、堆積物の採取を行った。 荒天時に根こそぎになった海藻には,オストラコーダの生体が大量に含まれていることが分かったのは重要な発見である.この流れ藻にはもともと海藻類に優占的に生息するオストラコーダ(例えばParadoxostoma属やHemicytherura属)がさらに優占的になるので,藻に生息するという生態学的な適応は,これらのタクサの分布能力に大きく貢献していると考えることができる.生息微環境の嗜好性に関する解析は現在進行中だが,オストラコーダ群集の多産性とタイプとは,海藻の形態学的特徴に依存しているということをすでに確認した.また飼育実験によって,多産する種の多くは正または負の強い走光性を示し,光がオストラコーダの藻や砂レキ上の位置に影響を与えるということを見いだした.底質に体を支える能力には,その底質表面の構造によって,タクサによる明らかな相違が認められた.研究対象としているタクサの生物地理学的分布に関するデータベースは,現在作成中である.また,モデル計算,データの集計,解析などの目的でコンピュータを購入した.
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