Project/Area Number |
07740495
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平井 克幸 三重大学, 工学部, 助手 (80208793)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | ジ(α-ナフチル)カルベン / ジアゾ化合物 / 立体保護 / 閃光光分解 |
Research Abstract |
本年度は、ジ(1-ナフチル)カルベンの2、2'位、4、4'位、2、2'、4、4'位にそれぞれメチル基を導入し、不活性ジ(1-ナフチル)カルベンの構築を試みた。 1.2、2'、4、4'位にそれぞれメチル基を有するジ(1-ナフチル)ジアゾメタンの光照射によって、対応するカルベンを発生させ、各種基質との反応性を検討したところ、シクロヘキサン、シクロヘキセン、α-メチルスチレン中では2、2'位にメチル基を持たないカルベンは基質へのCH挿入物やシクロプロパン化生成物、水素引抜き後二重化したテトラナフチルエタンを与えたが、2、2'位と2、2'、4、4'位にメチル基を有するカルベンは基質との反応物は生成せず、複雑な高分子量化合物を与えた。これは母体ジ(1-ナフチル)カルベン自体がそのペリ位水素のため立体的に混雑している上、2位のメチル基がカルベン中心を更に混雑させ、基質の接近を妨害するためであると考えられる。 2.レーザー閃光光分解法により室温脱気ベンゼン中でのカルベンの寿命測定を行ったところ、非置換体や、4、4'位ジメチル体はその半減期が数十μsしかないのに対して、2、2'-ジメチル体は1.4ms、2、2'4、4'-テトラメチル体では100msと非常に長寿命化した。しかし、この場合カルベンが2位のメチル基から水素を引き抜いたキノジメタン型中間体の生成も観測された。また、テトラメチル体の2、2'位のメチル基を全て重水素化するとキノジメタンの生成は殆ど観測されず、半減期は265msと更に長寿命化した。 以上の結果からジ(1-ナフチル)カルベンの2位へのメチル基の導入はカルベン中心への基質の接近をほぼ完全に阻害したが、分子内水素引抜きによるカルベンの減衰が観測された。従って、ジ(1-ナフチル)カルベンの完全な不活性化にはメチル基以上の嵩高さを持ち、尚且つカルベンに対して不活性な置換基の導入が必要であると考えられる。
|