キラルな大環状配位子を持つ希土類錯体を用いる不斉識別と不斉反応
Project/Area Number |
07740530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
坪村 太郎 成蹊大学, 工学部, 助教授 (70188621)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 大環状錯体 / 不斉識別 / かご型錯体 |
Research Abstract |
本研究は,ジアルデヒドと不斉炭素を有するジアミンを縮合させて得られる大環状錯体およびその誘導体を用いて不斉識別と不斉反応に応用することを目的としたものである.まず,問題の大環状錯体の合成を行った.ピリジンカルボキシアルデヒドと1,2-ジアミノシクロヘキサンから合成される18員環のシッフ塩基を4つ有する大環状化合物の合成はすでに報告したとおりであるが,不斉反応などに応用する際は溶液中での安定性が問題となるため,C=N結合を還元して単結合とすることを試みた.NaBH_4による還元を行い,Ba(II)錯体および配位子のみの状態の両方で還元体を得ることができた.この還元型の配位子を用いて,希土類錯体の合成を行い,Eu(III),Ce(III)錯体を合成した.これらの錯体を用いて光学活性な酒石酸との錯体形成反応について不斉識別を試みたが,現在のところ残念ながら明確な識別を示すデータは得られていない.そこで通常の大環状錯体と異なるかご型の錯体を合成を行った.これは現在のところ不斉な錯体ではないが,三次元的な広がりを持つ錯体にすることで立体識別がより効果的になることを考えたためである.トリス(アミノメチル)アミン(tren)と1,4-ナフタレンジカルボキシアルデヒドを2:3の比で反応させた結果,かご型の錯体を得ることに成功した.配位子のみ,銅の2核錯体,銀の2核錯体の3種についてX線構造解析を行ったところ,それぞれ特有のコンホメーションを有している構造であることが明らかとなった.さらに,分子力場計算の結果これらのコンホメーションの差が錯体種に特有のものであることが分かった.現在この錯体を用いたリン酸エステルの加水分解反応を検討中であり,単なるtren錯体より効率よくエステルを切断することが確かめられた.
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Report
(1 results)
Research Products
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